ディスプレーや箱などの紙加工商品の受注生産を手がける老舗の「矢頭洋紙」(名古屋市中区上前津2)が9月1日、初となる自社商品の販売を開始した。
1926(大正15)年創業の同社。「紙がなくなりはしないが昔よりは確実に減ってきている。徐々に厳しい状態へ。『何か』したいという気持ちは持っていたが何をしていいのかはわからなかった」と同社専務の永津さん。そうした中、仕事上で付き合いのあるデザイナーに話を持ちかけたところ紙の良さを生かしながら、ほかの使い方ができる商品の提案があった。このことをヒントにそのデザイナーと協力し、初めての自社商品を作ることを決意したという。
同社の紙加工のノウハウとデザイナーのアイデアを組み合わせ、約半年かけて試行錯誤を続けながら商品化を実現。「今までは受注されて作っていた側で、こういう接点がなかったので初めての挑戦。デザイナーの意見を聞きながら、現実的に難しいものもクリアする提案などを繰り返し一緒に作ってきた」。「紙加工の知識があるので妥協できない部分もあった。わき上がった問題も逐一解決してきた」とも。
ブランド名を「KAMIng(カミン)」とした第1号となる商品は、紙で作られた木のシルエットをモチーフにした3枚のパーツから成る商品。組み合わせると立体的な木の姿になる。木が3つということから商品名を「mori(森)」とした。木のパーツを専用の封筒とセットにした商品で、そのままグリーティングカードとして送ることもできる。「インテリアのほかリングなどのアクセサリーフォルダー、好みの香りを振りかけるなど使い方はさまざま」(営業部次長の田中さん)。「紙なので木のパーツにメッセージを書き込むこともできる。そのほか想定外の使い方をしてくれればうれしい」。
形は4種類で、それぞれ白・黒の色展開で計8アイテム。価格は1点1,050円。「高めの感度を持っている方、ライフスタイルにこだわりを持っている方に使ってもらえれば」(田中さん)。現在は専用サイトでのネット販売が中心だが、今後取り扱い雑貨店などを増やしていく予定。
「まずは始まったばかり」と永津さん。長い目で見てスタッフ一丸となり一生懸命続けていきたい」と意気込む。「紙を見直す機会になれば」とも。