昨年12月に行われた、市民が発信する感謝のメッセージに応じ名古屋テレビ塔をこれまでと違った形でライトアップしたイベント「ハートタワー」が「ディスプレイデザイン賞2011」の協会特別賞(地域賞) を受賞した。
同賞は、日本ディスプレイデザイン協会が毎年、新しいクリエーターの発掘とデザイン活動の向上、領域拡大を目指し、1年間の空間環境系の優秀な作品を評価・公表し表彰するもの。
昨年、名古屋開府400周年のファイナルイベントとして開催されたLEDを使ったイベント「NAGOYA アカリナイト」の一環で行われた「ハートタワー」。利用者が「ありがとう」の気持ちを伝えたい相手に向け発したメールやツイッターによるメッセージに呼応して、テレビ塔がさまざまな色に光り、市民の思いを街中に知らせた「市民参加型」の企画。
電波塔として最後のクリスマスを迎えたテレビ塔全体を、メッセージを発信するディスプレーと捉えた仕組みにより、「電波塔」としての役割から市民の「心」を発信する「ハートタワー」へと姿を変え、多くの人たちの関心を集めた。併せて、同イベントでテレビ塔の下の広場に設けられた3万球のLEDの光のディスプレー「バイオスクエア」も同賞に入選した。
「本当にたくさんの人が関わってできた企画。新しいものを生み出したことが評価され、素直にうれしい」と実行委員の一人としてディレクションに携わった名古屋工業大学准教授の伊藤孝紀さん。「役目が終わってしまうテレビ塔に少しでも関心を持ってもらえたらという思いが、もともとあった。賞を受賞したことで、また注目を集めるきっかけになれば」と話す。
間もなくアナログ電波塔としての役割を終える名古屋テレビ塔について、「市民がコミュニケーションをとれる場、情報を発信できる場として機能してほしい」と伊藤さん。「市民が積極的に関われる場として残ってほしい」と、第2の人生がまだ明確になっていないテレビ塔の将来に期待を寄せる。