栄の愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)で6月2日、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2016」への参加が決定したアーティスト・カンパニー「アニマル・レリジョン」のキム・ジロンさんが会見を開いた。
名古屋市、豊橋市、岡崎市を会場に8月11日~10月23日の74日間にわたり開催される同芸術祭。3回目となる今回は「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」をテーマに現代美術、パフォーミングアーツなどの展示・上演が行われる。同カンパニーは豊橋公園で10月8日~10日、パフォーマンスを行うと発表した。
アニマル・レリジョンはジロンさんとニクラス・ブロンベリさんを中心に、スペイン・バルセロナを拠点に活動するカンパニー。現代的サーカスにダンスと音楽の融合を図りながら、動物の本能や宗教に触発された作品を創作している。今回の上演が初来日となる。
ジロンさんは「最初に出身地であるスペイン・バルセロナで舞台芸術を学んだ後、フランス、スウェーデンでサーカスに取り組んだ。カンパニーは、スウェーデン・ストックホルムのサーカス学校でニクラスと共に創設した。その学校は現代サーカスとダンスの両方に特化していて、全てのアーティストの表現にオープンな場だった。スウェーデンで僕のモチベーションはサーカスに変革を起こしていくことにあると思うようになった。カンパニーを創設してから5つの作品を上演したが、全ての作品に共通しているのは動物的な要素を含んでいること」と話す。
豊橋公園でのパフォーマンスは、2014年にスペイン・カタルーニャ州の農場ほかを会場に上演して高い評価を受けた「Chicken Legz(チキン・レッグズ)」の日本初演。カンパニーのメンバー11人が出演し、人間と動物と機械によるアクロバティックでスペクタクルな空間を演出する。
ジロンさんは「ユニークでサイトスペシフィック(特定の場所のために特別に制作される)な作品。観客が単なるオブザーバーではなく、能動的な主体として作る側に参加する形態。今回は日本なので、スペインで上演されたものとはひと味違う作品になると思っている。半分ほどは初演で作られているものを踏襲するが、半分は豊橋公園という場所について語る、場所に密着した内容になる。公園を下見したが、とてもオープンで魅力的な場所だと感じた」と話す。
ジロンさんは今回の下見を基にスペインで構想を練った後、9月25日ごろにメンバーと共に再び来日し、豊橋で約2週間をかけて作品を滞在制作する。「若いカンパニーである僕たちに、日本文化を知ることができる滞在制作の機会を与えていただき、とても感謝している。日本でこの作品を新しく作り直したい」と意気込んだ。
会見では「あいちトリエンナーレ2016」唐津絵理キュレーターが、パフォーミングアーツの全体像についても発表。上演が決定した10組の作品の内容や特徴、パフォーミングアーツを集中的に上演する「レインボーウィークス」(10月6日~10月23日)の日程や会場などを紹介した。
パフォーミングアーツの全体像と見どころは6月13日、SMBCパーク栄(中区錦3)で唐津キュレーターを講師に開催されるセミナー「あいちトリエンナーレ2016で世界の舞台を楽しもう!!」でも紹介される。18時30分~(参加費無料、事前予約制)。