かつて名古屋で運行していた「名古屋市電」を紹介した写真集「市電のある風景・名古屋」が10月25日、桜山社から発売された。
著者の浅野修さんは名古屋市出身。名古屋大学在学中に鉄道研究会に所属し、鉄道やバスの撮影を始める。卒業後は京都の会社に就職するが、サラリーマン生活の傍ら写真撮影を続けた。定年後、2014(平成26)年にウェブサイト「railbus’photo album」を開設。撮影した市電の写真などを掲載している。
同書は、1965(昭和40)年~1970年ごろにかけて浅野さんが撮影した名古屋市電が走る街の風景をまとめた写真集。豊富な写真の中から460枚を選び、それぞれの写真に撮影した場所や車両などの説明を加えている。巻末には、明治時代から昭和時代の戦前・戦後の市電最盛期までの歴史をまとめた年表、時代ごとの路線図を掲載。瀬戸電や西名古屋港線についてのコラムなども写真付きで紹介している。
2024年は名古屋市電廃止から50年の節目の年。浅野さんは「戦後まもなく名古屋で生まれ、この街の復興と発展を見てきた。写真を撮り始めた1966(昭和41)年は、地下鉄東山線の延伸により、並行する市電が廃止された時期。市電の記録を写真に残したいと、暇を見つけては名古屋の街を歩き回るようになった。仕事をリタイアした後、ウェブサイトに掲載を始めたが、いずれ形のあるものにして残したいと思っていた。桜山社から声をかけられ、廃止から50年の年に本にまとめることになった」と出版の経緯を話す。
「掲載した写真を改めて見ると、市民の足として元気に走る名古屋市電の姿と共に、街の風景もとても魅力的だと気付く。名古屋市電を初めて知る人には歴史入門書として、当時の名古屋の街並みを知る人には懐かしい写真集として、楽しんでもらえるはず」と同書の魅力をアピールする。
仕様はA4変形判、340ページ。価格は6,600円。