
独自の上映企画を手がけてきたミニシアター「大須シネマ」(名古屋市中区大須3)が4月27日、閉館する。
2019(平成31)年3月に、大須生まれの中川健次郎さんが代表を務めるNPO法人「大須シネマ」運営で開業した同館は、30年ぶりに大須に復活した映画館だった。2020年7月に現在の運営団体に変更。今回、丸6年の営業に幕を下ろす。
ロードショーを扱う一般的な映画館とは異なり、設定したテーマに合わせて選んだ旧作3作品を2週間上映するスタイルを基本に営業。運営団体変更後から副支配人を務める杉山薫さんが、テーマの考案から編成、配給会社への連絡などを担い、同館スタッフと一緒に営業してきた。
「悲しい映画でも泣ける映画でも、怖い内容でも、引っくるめて映画の楽しみ、エンターテインメントだと思う。それをお客さまに届けたいという思いを常に持って続けてきた」と杉山さん。「なにぶん小さな映画館で新参者のため、配給会社の伝手がほぼない状態でスタートした」(杉山さん)といい、自身が劇場で見たいと思う作品をセレクトしたら配給会社を探して上映できないか問い合わせることを毎回、繰り返してきたという。
「中川さんがいたから大須の地に再び映画館ができた。大変だけど楽しかった。任せてもらってきたので、やりたいようにやってこられた」と振り返る杉山さん。同館所在地が大須商店街に近いことから、飲食店利用などに合わせて来館する人も多かったという。
テーマは季節や監督、俳優などに焦点を当てたものや、サイレント映画、SF映画などの企画もあった。テーマに合わせて同館スタッフが館内の装飾や展示物の内容を考え設置し、来館者を楽しませてきた。3年前くらいから始めたB級、Z級の作品が多いとされるサメ映画の特集やZ級映画祭は全国からファンが集まる盛況ぶり。杉山さんは「面白いとは思っていたが、開催前はサメ映画に思い入れはなかったが、反応がよく皆さん楽しんでくれた」と笑う。
閉館までは、予定していた作品で上映可能なものを詰め込んで上映していくという。5月に1週間かけて開催予定だったZ級映画祭から2本、邦画、洋画、自主制作のアニメーションなどバラエティーに富んだ作品が並ぶ。
「通りすがりに知らない映画ばかりと言われて落ち込むこともあったが、知らないことを知ることは面白いと思う。面白さは新しい、古いにかかわらないので、見に来てほしい」と呼びかける。
料金は1,400円。