
日本舞踊「西川流」が「第78回 名古屋をどりNEO傾奇者(かぶきもの)」を10月11日・12日に岡谷鋼機名古屋公会堂(名古屋市昭和区鶴舞1)で開催する。7月13日には、西川流四世家元の西川千雅さん、ゲスト出演する落語家の蝶花楼桃花さんらが熱田神宮を参拝。熱田神宮会館で会見を開き、舞台への意気込みを語った。
熱田神宮会館で開かれた「第78回名古屋をどりNEO」記者会見
名古屋をどりは、西川流が1945(昭和20)年の終戦直後から、名古屋宝塚劇場、中日劇場、御園座など、名古屋の中心地で会場を移しながら公演を続けている舞台。2022年からはエンターテインメント色の強い「NEO」と古典中心の「CLASSIC」を開催。NEOでは名古屋市公会堂の全館を貸し切りにし、舞台公演のほか、ロビー、屋外も使った伝統芸能に関する企画も併せて行う。
78回目となる今回も公会堂全館と建物の内外を使用。1階の大劇場で公演を行い、2階、4階ホールなどで中部の魅力を伝える企画や販売ブースを開く。
大劇場は2部構成。第1部は3つの演目を上演。「序之幕 華舞」は、西川流の次世代を担うメンバーが、劇場内でのおもてなし、屋外ステージでの踊り、舞台での本公演の幕開きを行う。「二之幕 芸妓(げいこ)競演舞台 常磐津『乗合船恵方万歳』」は、名古屋、安城、岐阜、金沢などの芸妓が競演する。「三之幕 落語 蝶花楼桃花」は、特別ゲストの桃花さんが忠臣蔵を舞台にしたオリジナル落語「元禄女太陽伝」を披露する。
第2部「NEO舞踊劇 『元禄おんな忠臣蔵』」は、千雅さんが演出・主演を務め、西川流の舞踊家のほか、名古屋出身の俳優、ダンサーらが出演する舞踊劇。「元禄女太陽伝」のその後を描く物語で、千雅さんの書き下ろし。桃花さんは語り部となって物語を進め、千雅さんは赤穂の浪士を忘れられず冥界へ向かう主人公の遊女・小春を演じる。
小春が恋する赤穂浪士・大石主税役はフィギュアスケーターの高橋大輔さんが特別出演。スケート靴は履かずに舞台で役を演じ、日本舞踊も踊る。冥界で主税が出会う謎の小鬼・娑婆兄(しゃばあに)の声を、声優の梶裕貴さんが演じる。
ほかに「OSK日本歌劇団」で名古屋出身の華月奏さん、「BOYS AND MEN」の本田剛文さん、大衆演劇「ナゴヤ座」の名古屋山三郎さん、アクショングループ「RE-act」の手嶋政夫さんなど、名古屋ゆかりの出演者が集結。映画監督の堤幸彦さんが演出協力を務める。
千雅さんは「長い歴史を持つ伝統芸能を、エンタメ色豊かなネオスタイルで再構築するのが名古屋をどりNEO。2022年より3年やってきて、ネオと呼べるものであるために、4年目のリニューアルをうたっている。今回の舞踊劇は、死んだ後の世界である冥界が舞台の物語。死んだ人間は生前一番執着したことを繰り返していて、赤穂浪士はいまだ討ち入りを続けている。忠義と愛、生まれ変わりの輪廻(りんね)の中で、何が残るのかを描く。冥界を表現できるよう、舞台美術・映像などもアイデアを練っている」と話す。
特別ゲストについては「高橋さんの舞台を先日見に行ったが、演技も踊りも歌もやっている。今回の舞台では、日本舞踊にも挑戦していただこうと思っている。梶さんは、七色の声を持つ素晴らしい演技派。いろいろな声が出せるような役柄をしていただきたい」と期待する。
桃花さんは「元禄女太陽伝は、女性が主役の忠臣蔵の話で、師匠の(春風亭)小朝がやっていた新作落語を引き継いだもの。後日談を舞踊劇にしてくれると聞き、めちゃくちゃうれしかった。そうそうたる人たちの中で、落語はしっかりやらせていただいた上で、舞踊劇も頑張りたい」と意気込む。
大ホールの開演は両日とも11時、17時。入場料はSS席=1万1,000円、S席=8,800円、A席=5,500円。