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震災後の東北を撮影-大須のギャラリー「プシュケ」で写真展

写真展「鎮魂とひまわり」を開催する朝野耕史さん。プシュケにて

写真展「鎮魂とひまわり」を開催する朝野耕史さん。プシュケにて

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 大須のフォト&アートギャラリー「プシュケ」(名古屋市中区大須2、TEL 052-253-5919)で3月9日、写真家・朝野耕史さんの写真展「鎮魂とひまわり」が始まった。同展は朝野さんが東北を訪れて撮影した写真27点を展示する。

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 朝野さんは名古屋市在住の写真家。東京写真専門学校名古屋校(現ビジュアルアーツ)卒業後、写真家の野上透さんに師事。写真スタジオなどを経て2000年に独立し、婚礼撮影、雑誌、広告など幅広い分野で活動している。

 朝野さんは昨年3月11日の東日本震災後、名古屋で活動する「愛知ボランティアセンター」にボランティアとして参加。7月・8月の2度にわたり福島県、宮城県を訪れた。「とにかく行って何かの役にたちたかったが、いきなりカメラマンとして現地に行き写真を撮ることに抵抗を感じた。そこでボランティアに参加し、がれきの撤去を手伝った。自分が写真を撮るべきかという判断も、現地の空気の中に立ってから考えようと思っていた。ボランティア活動の場所になった牡鹿半島の石巻市に到着した時は、ぼうぜんとするばかりで、無力感、脱力感に襲われた」と振り返る。

 作業の休み時間などに現地の人々と話す中で、東北の風景、空気を写真に撮りたいとの思いは強くなった。現地の人たちからも、ぜひ愛知県に伝えてほしいと声を掛けられたという。この最初の交流の中で撮った数点の写真も同展で展示する。

 名古屋に戻った朝野さんは撮影準備を整え、翌月に再び東北へ。福島県、そして宮城県の牡鹿半島を再訪し、1週間にわたり撮影した。「再訪して感じた印象は、希望と絶望が混沌(こんとん)としていること。福島県に到着して最初に見た風景は朝の美しい田園風景だった。しかし見た目はきれいでも、そこの作物は廃棄処分されることが決定された。福島には目に見えない沈黙の怖さを感じ苦しくなった」。避難地域となった南相馬市原町では盆踊りの様子を撮影。牡鹿半島の十八成地区では、復興を目指す人々の前向きさに希望も感じた。がれきの他にも多くの写真をカメラに収めた。

 名古屋に戻った後、雑誌などに何枚かの写真を掲載したが、本格的に展示するのは今回が初めて。以前から親交のあった同ギャラリーで、朝野さんにとって初めての個展を開くことに決めた。

 「今回、展示されている写真には、大げさなコンセプトのようなものはない。1週間の滞在で何かを語れると考えるのは、おこがましい。報道写真なら、悲惨な状況を伝える、生きる希望を感じるものを撮るといった方向性があると思う。しかし自分の写真は、希望も絶望も両方がある空気の中で撮ったもの。同じ写真でも美しいと感じたり、怖いと感じたり、見る人によって違う感想を持つのでは」

 朝野さんは「震災から1年が経過して、僕の周りでも地震の話をすることが減ってきた。この写真展以外にも3月11日には、僕が参加したボランティア団体をはじめ、いろいろな活動が行われる。同じ日本でこういう大災害が起こったということを、もう一度思い出して目を向けてほしい。愛知県は今日、大きな地震が起こってもおかしくない。東北の風景は明日の愛知県の姿かもしれない。写真展を見た人たちが“生きること”を見直すきっかけになってくれたら」と話す。

 開催期間は3月9日~11日、16日~20日。営業時間は12時~20時(日曜は19時まで)。月曜~木曜定休。

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