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お蔵出し映画祭GP作品「しあわせカモン」公開へ-鈴木砂羽さん来名

来名した鈴木砂羽さん

来名した鈴木砂羽さん

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 伏見の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1、TEL 052-212-2437)で2013年1月26日から、「お蔵出し映画祭2011」でグランプリに選ばれた映画「しあわせカモン」(中村大哉監督)が公開される。公開に先立ち主演の鈴木砂羽さんが来名し、会見を開いた。

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 同作は岩手県を中心に活躍するミュージシャン松本哲也さんと母親・扶美江さんの親子愛を描いた物語。昨年、さまざまな事情で公開されなかった日本映画の中から良作を発掘する「第1回お蔵出し映画祭」でグランプリを受賞。全国ロードショーが決まった。

 少女のころから「幸せになりたい」と願い続けてきた扶美江(鈴木砂羽)は、夜の世界で働くようになり、ヤクザの哲夫(今井雅之)と結婚する。やがて息子・哲也を授かり溺愛するが、荒れた暮らしの中で覚せい剤に手を出し、薬物中毒に悩むようになる。哲也は児童相談所の指示で児童養護施設に預けられ、母と離れて生活することになる。実在のミュージシャン松本哲也さんの実体験を基に、約30年にわたる不器用で温かい親子の愛情をコミカルに描く。成人した哲也役を石垣佑磨さんが演じる。

 波乱の人生を送りながら、幸せを願い続ける母・扶美江を熱演した鈴木さん。「マネジャーが、いい脚本ですと持ってきてくれた役。脚本を読むと感性に引っかかるものがあり、ぜひやりたいと返事をした。覚せい剤など暗く書こうと思えば、どこまでもできる内容だったが、監督はダークサイドに行かずにコミカルさを大切にした。ハートウォーミングで、爽快さもある。監督の扶美江さんへの思いがとても深く、意向をでき得る限りかなえたいと思った」

 実在した人物を演じる難しさについては、あまり悩まなかったという。「脚本に書いてある松本扶美江という人間を演じようと思った。撮影に入る前、息子の哲也さんに短い時間、扶美江さんのお話を聞いた。非常にかわいらしい人だったと言っていたので、そこを出したいと考えて演じた」と鈴木さん。扶美江さんの魅力について「彼女はひたすらいちずで前向き。ちょっと愚かで選択を間違えたりしたけれど、とにかく懸命に生きた。ばか正直だけど底力がある熱い人。いちずさとひたむきさが伝われば、相手のことを信用したくなるし、一緒に頑張りたくなる。扶美江さんはそれを考えずにやっているから魅力的。それを見る人に届けたい」と語る。

 松本さんは上京してメジャーデビューするが、母の死後、岩手に戻って地元に密着した音楽活動を続けていた。今回の映画の主題歌「ユキヤナギ」で再びメジャーデビューすることが決まった。「歌を聞いた時は、母に対する松本さんの思いがあふれていて、涙が出た。登場人物の心情に合った言葉になっている。映画と共鳴していた」と絶賛する。

 お蔵出し映画祭が生まれた背景には、年間400本もの映画が公開される活況とともに、お蔵入りする作品も多い日本映画界の現状があるという。本作も完成した2009年にロケ地の岩手県で上映されたものの、その後、経済的な事情により劇場公開の道が閉ざされた。映画祭のグランプリ獲得により、波乱万丈の末に全国公開が実現した。

 鈴木さんは「こういう映画祭ができたことに喜びを持つと同時に、多くの作品がお蔵入りとなってしまう現状に対して憤りを感じる部分もある。ただ、百本の映画がお蔵入りしたら百通りの理由がある。頑張っても、どうにもならない状況になることもある。この作品は一度お蔵入りになったが、絶対に埋没することはないと信じていたし、届けるまで諦めないと誓っていた。皆さんのおかげで公開できて本当にうれしい」と話し、多くの来場を呼び掛けた。

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