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大須演芸場が惜しまれつつ閉館-強制執行で約50年の歴史に幕

最後の公演を終え、笑顔で観客を見送る出演者ら(大須演芸場で)

最後の公演を終え、笑顔で観客を見送る出演者ら(大須演芸場で)

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 大須演芸場(中区大須2)が2月3日、建物明け渡しの強制執行により閉館した。最後の公演は座席数250人を超える演芸ファンが詰め掛け、入館できなかった人も建物の外で名古屋最後の常設寄席との別れを惜しんだ。

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 同演芸場は1962(昭和37)年に建設、1965(昭和40)年より寄席として開館した。以後、約半世紀にわたり落語、漫才、手品などの演芸の興行で市民を楽しませてきた。

 かつては多くの人気芸人が舞台に立っていたが、入場者数の減少により、2007年頃から賃料を滞納。建物所有者との調停で、未払い分の分割払いや賃料の減額などを取り決めて運営を存続した。しかし、再び賃料滞納となったため、建物所有者が地裁に強制執行の申し立てを行い、昨年明け渡しが決定した。

 閉館日として提示された1月31日に最後の有料興行が行われ、2月1日からの3日間は席亭の足立秀夫さんの意向により、無料で寄席を開いた。連日満員で迎えたこの日も、最後の公演を見ようと多くの演芸ファンが来館。開場前には建物の外に行列ができた。

 満員の観客を前に落語家の雷門獅篭(しかご)さん、女流講談師の古池鱗林(りんりん)さんらが次々に登場。最後に落語家の快楽亭ブラックさんの舞台が続く中、13時30分に執行官が来場。大きな拍手の中、演芸場の歴史が終了した。

 足立さんが執行官、建物所有者らと館内で手続きを進める中、ブラックさんは建物の外で見守る演芸ファンに笑顔で感謝。「平日にも関わらず来ていただいた観客と、今日の状況を思い切り楽しもうと思った。執行官も拍手で迎えられて面食らったでしょうね。誰もいなくなった演芸場を見たら、きっと寂しくなるだろうと思う」と話し、閉館を惜しんだ。

 建物の今後の使用法などは未定。足立さんは芸人らとの出張公演などを行い、演芸活動を続けていくという。

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