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錦二丁目で「内なる現実」と対峙し世界を再構築する 設楽陸個展「something great」

「something great」会場にて、画家の設楽陸さん

「something great」会場にて、画家の設楽陸さん

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 瀬戸市を拠点に活動する画家・設楽陸さんの個展「something great」が9月18日、長者町コットンビル(名古屋市中区錦2)で始まった。

設楽陸さんの個展「something great」会場の様子

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 長者町コットンビルは2020年6月にアーティスト、クリエーターらの発信と交流の拠点として誕生した。同個展の会場はビル1階の多目的スペース。天井の高い開放的な空間に作品が並ぶ。

 平面作品を中心に、立体・インスタレーション作品などを手掛ける設楽さん。複数の若手アーティストが集うアトリエ「タネリスタジオビルヂング」の運営代表も務めている。

 会場に展示された作品はすべて新作で、同個展のために制作された。10年以上におよぶ設楽さんのキャリアの中で、新作のみで構成した個展を開くのは初の試みとなる。「作家活動をスタートした20代は純粋に絵を描くことを楽しんでいた。反面、生活は苦しく制作は常に孤独と隣り合わせ。孤独に苛まれ、制作から距離を置いた時期もあった」(設楽さん)と振り返る。

 「タネリスタジオの立ち上げにより作家同士の交流が生まれたことでモチベーションは回復したものの、気づかぬうちに蓄積された『絵画とはこうあるべき』といった固定概念からの脱却は困難を極めた。現状を打破するため、原点に立ち戻る一環として修行に望もうと考えた」(同)。奇しくも画家である父・設楽知昭氏の闘病生活とも重なり、自身の死生観や宗教観を見つめる機会にもなった。

 個展開催にあたり、設楽さんは同じ型の絵を100枚描く「修行」を自身に課した。描いたのは「爆弾」。色合いやテクスチャーは多種多様で、爆弾の背景には昔のテレビゲームを思わせるバーチルな世界が描かれている。「子ども時代、親にテレビゲームを禁止されていた。また当時は、喘息とアトピーの発作で苦しい思いをすることがたびたびあった。幼い私にとって拠り所となったのが、頭の中で思い描いた架空のゲームの世界。爆弾は原体験を表すモチーフといえた」(同)。

 同個展を企画したN-markの武藤勇さんは「爆弾は、設楽さんの想像力や生命力を象徴するアイコン。丸いフォルムには、暴力的ともいえるあふれるエネルギーが内包されている」と言う。以前より設楽さんと交流があった武藤さんは、兼ねてより個展の企画を打診していた。「設楽さんは名古屋のアートをけん引する存在。アーティストとしての成熟度が高まる30代のタイミングで大規模な個展を開催できた意義は大きく、今後の彼の成長と活躍の後押しになればうれしい」とほほ笑む。

 100点もの爆弾の完成を経て、設楽さんは100号サイズの作品を2点、200号サイズの作品を2点、300号サイズの作品を1点描き上げた。会場には他にも、制作中の思考分析をまとめたドローイングやブロック玩具をモチーフとした立体作品が展示されている。

 開館時間は13時~20時。休館日は月曜~木曜。入場無料。10月10日まで。

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