映画「truth~姦(かしま)しき弔いの果て~」が来年1月7日から、「センチュリーシネマ」(名古屋市中区栄3)などで公開される。12月21日、堤幸彦監督が「伏見ミリオン座」(中区錦2)で同作品をPRした。
同作品は、3人の女性が壮絶な「マウント合戦」を繰り広げる喜劇。堤監督の50作目となる節目の作品であり、初めての「インディーズ映画」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で表現の場を失った3人の俳優、広山詞葉さん、福宮あやのさん、河野知美さんが「自主映画を作ろう」と立ち上がり、文化庁の助成金を活用して制作をスタートさせた。予算は約700万円、撮影期間は2日間という制約の中で、「創作の原点に立ち返る作品づくりが行われた」という。
堤監督は「コロナ禍の状況で、たくさんの役者やショービジネス関係者に影響があった。私も、22歳くらいからこういう業界にいて仕事が途切れたことはなかったが、今回見事にゼロになった。そんなとき、熱意のある3人に体当たりでリクルートされた」と監督を引き受けた経緯を振り返る。
広山さん、福宮さん、河野さんが堤監督に提案した映画のテーマは「精子バンク」。女性の俳優が集まって「女性による女性の映画」を作りたいという思いから、企画を考えた。堤監督はそのテーマに賛同し、さらに見る人の裾野を広げるアイデアを膨らませたという。脚本は、多くの堤監督作品に携わる三浦有為子さんに依頼した。堤監督は「三浦さんは、俳優とあまり面識がなくても、ぴったりな脚本を書ける才能がある。キャラ分けが巧み。今回登場する3人のキャラクターには、女性なら誰しもが持ち合わせているような側面もうまくちりばめられている」と説明する。
3人の女性と同時に付き合っていた恋人であり、突然亡くなった男性の役には佐藤二朗さんが「忖度(そんたく)出演」する。堤監督は「この役の適任者には彼しか思い浮かばなかった。海外の映画祭で上映した際は、彼が出てきただけで爆笑が起こった」と話す。
名駅西の映画館「シネマスコーレ」(中村区椿町8)では現在、同作品の公開記念企画として「堤幸彦監督映画50作公開記念上映会」を行っている。今月24日まで。