名古屋の老舗和菓子店「両口屋是清」が4月1日、看板商品の生菓子「千(せん)なり」を大幅リニューアルする。
4月1日に販売を開始する生地、あん、パッケージをリニューアルした「千なり」
1634(寛永11)年、那古野本町で創業した同店。名古屋の手土産として地元で親しまれるどら焼き「千なり」は、1934(昭和9)年ころから販売を始めた。豊臣秀吉の馬印「千なり瓢箪(びょうたん)」の焼き印が皮の表面に押されている。味は長年、「小豆粒あん」、「白あん」、ピンクに色付けた「紅粒あん」の3種類展開だったが、1999(平成11)年に白あんを「抹茶あん」にし、リニューアルを図った。
23年ぶりとなる今回のリニューアルは、生地とあん、パッケージを変更するほか、新しい味を発売する。
同社広報の近藤美香さんは、「常に時代に合わせブラッシュアップはしているが、今回の大幅リニューアルでは、売りにしている『千なり』の生地のフワフワ感を継続させることを目指して、2018年から取り組みをスタートさせた」と話す。通常、新商品開発などにも3年程度かかるという。原材料の見直し・見極めのほか、生地のねり加減や焼き時間など製法にもテコ入れし生地は、「しっとりしつつも、フワフワな食感キープを実現した」(近藤さん)という。
生地の変更で、あんとのバランスも変わるため、リニューアルした生地に合うように同社の製あん職人があん作りを行った。「小豆粒あん」に使う丹波大納言小豆の量を従来に比べ1.2倍に増量。大粒なのが特徴で、つぶ感が増し、豆の風味も感じられるという。西尾産抹茶を使う「抹茶あん」は、抹茶の味が濃厚になったという。
既存商品の「紅粒あん」は3月31日で販売を終了し、4月1日からは新たに「林檎(リンゴ)あん」が加わる。開発段階でフルーツあん商品を考え、アンズやイチゴなどの候補も出たが、約400人いる従業員が参加する食べ比べや意見交換を経て、老若男女になじみのあるリンゴを採用した。国産リンゴを使い、シャキシャキ食感が特徴のあんに仕上げたという。
パッケージは、イラストを使ったデザインに一新。赤い服を着た女の子が大きな木の下で出会う、「幸福の象徴」として「青い鳥」(小豆粒あん)、抹茶を囲む「白いタヌキ」(抹茶あん)、リンゴを手にする「ウサギ」(林檎あん)を描く。企業の周年記念や学生の卒業記念などに使われるオリジナル焼き印の「千なり」は、絵柄が見えるように透明パッケージに詰める。
価格は1個=172円、3個入り=550円、5個入り=918円。
リニューアル前の「千なり」販売は3月31日まで。
本町店(名古屋市中区丸の内3)などの直営店のほか、主要百貨店内の店舗、オンラインショップで販売する。