中川運河を舞台にしたアートプロジェクトの10年の節目に合わせた企画展「中川運河ARToC10(アートックテン) 10年の軌跡」が9月15日、「名古屋都市センター」(名古屋市中区金山町1)11階で始まった。
2013(平成25)年から始まった同プロジェクトは、ささしまライブ地区の中川運河の堀止めから長良橋、東に延びる松重閘(こう)門周辺を対象にした「中川運河 にぎわいゾーン」の魅力向上を目指し、同運河を舞台にする市民交流・創造活動につながるアートプロジェクトへの助成を行なってきたもの。10年間でインスタレーション、映画、演劇、水上パフォーマンスなどさまざまなジャンルの全45作品が生み出された。
同企画を担当した名古屋都市センターの木村江理香さんは「ARToC10は、アーティストが実施場所の選定、地域への説明や関係づくり、作品づくりに地元の人も参加できるワークショップの開催など、地域との関わりを持つ過程が特殊」と説明する。
同展では、発表された作品の記録をロングテーブルに並べて一堂に展示するほか、アーティストのクレメンス メッツラーさんが手がけたマップ作品の大型プリントの展示、完成までの過程の記録写真や季節の中川運河の風景などを天井からつるして演出する。「作品を見てもらうのはもちろん大切だが、普通のアート活動にない、地域との関わりも含めた活動の厚みを、ゆらめく運河の流れのようにつり下げた写真を見て感じ取ってもらえれば」と話す。「関わった人には懐かしく思い出してもらえるのでは。中川運河や地元の魅力に気付いてもらいたい」とも。
会場に設置するメッセージボードには、来場者が感想などを伝えることができる。「この企画展やARToC10だけでなく、中川運河に対する声も聞かせてほしい」(木村さん)と呼びかける。
同フロアのホールで関連イベントも開催。アーティスト・浅井信好さんの作品上映とアフタートーク(17日14時~16時)、水辺を愛する人たちのトークセッション「水上に立つ者だけが見ている風景」(23日、13時30分~16時)など。
同運河の写真を背景にSUPの擬似体験ができるコーナーや、12階の「まちづくりライブラリー」ではミニ資料展「かわ・アートそしてまちづくり」も展開し、中川運河の写真集やアートとまちづくりに関する本などを設置する。
開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は17時まで)。月曜(祝日の場合は翌日)休館。入場無料。10月2日まで。