「第21回AAF戯曲賞」で大賞に選ばれた「鮭なら死んでるひよこたち」の受賞記念公演が11月24日~26日、愛知県芸術劇場(名古屋市東区東桜1)小ホールで上演される。
AAF戯曲賞は、愛知からの文化の発信、演劇界の次世代を担う人材の発掘・育成などを目指し、愛知県芸術劇場が2000(平成12)年より主催。上演を前提として戯曲を募集し、審査を行い受賞作品を決定。同劇場小ホールで上演している。第21回は応募115作品の中から昨年1月、守安久仁子さんの戯曲が大賞に選ばれた。
物語の舞台は、下校時間が近づく小学校の前。カラーひよこを売る不思議な二人組がトンチンカンな会話を続けていると、無邪気な子どもたちや町内会長、母の会会長、チャラ男、監査員などが次々とやって来る。色付けされたことに気づかず鳴くひよこや、産卵後に死ぬサケなどのイメージをもとに、人の性(さが)や巡る命の不思議さを描く。
演出は「指輪ホテル」主宰で演出家、劇作家の羊屋白玉さん。北米、南米、ヨーロッパでツアーを行い、国内外の現代美術の芸術祭でも作品を発表。「ニューズウィーク」日本誌で「世界が認めた日本人女性100人」に選ばれている。出演は、遠藤麻衣さん、神戸浩さん、スズエダフサコさん、田坂哲郎さん、リンノスケさん。
今回の舞台は、AAF戯曲賞としては初めてのツアー公演を開催。2024年2月に、福岡、札幌で上演することが決定した。愛知県芸術劇場プロデューサーの山本麦子さんは「20年以上の歴史がある愛知発の戯曲賞と劇場プロデュース公演を、より多くの方に知ってもらいたい。これまで審査や関連企画等に携わってきた方々とのつながりが、今回のツアーに結び付いた。再演の機会が重なることで、よりブラッシュアップされ、上演の可能性を実感する機会になるはず。各地での出会いに今からワクワクしている」と話す。
稽古は3月に愛知県芸術劇場で開始。8月には創作した過程を一般に公開するワーク・イン・プログレスを札幌市で実施した。羊屋さんは、「クリエーションに費やした時間とバックグラウンドが少し分かるような作品にしたい。この作品に向き合った人たちが『個人的なことと社会的なこと』を重なり合わせ、どのように拡張するのか、裏返すのか。作品の中で、戯曲に問いかけるみたいなことができたら、面白く思ってもらえるはず。ツアー各地でどのような反応を受けるのか、怖くもあり、楽しみでもある」と話す。
開演時間は、24日=19時30分、25日・26日=15時。料金は、一般=3,000円、U25=1,000円(要証明書)。