名古屋城(名古屋市中区本丸1)から徳川園(東区徳川町1)一帯のエリア「文化のみち」のイラストや写真、文章を市民から募る「みんなで選ぼう!文化のみち 市民遺産」の募集が行われている。主催は、日本の女優第一号として名をはせた川上貞奴さんと大正期に電力王といわれた福沢桃介さんが共に暮らした家を利用した施設「文化のみち二葉館」(東区橦木町3)。
「文化のみち」は、江戸期の文化や、明治、大正、昭和にかけての歴史的建造物や懐かしいレトロな商店看板、百年以上の時を経ていると思われる大木などに出会えるエリアで、近くには国道や大通りが走る都心近くに位置する。歴史的建造物には、豊田自動織機創業者の豊田佐吉さんの弟で発明家の豊田佐吉さんの旧邸などがある。
同企画では、名古屋城および東区内で見られる建物、風景、もの、行事など、参加者が「残したい」と思うものへの思いを募集し、「文化のみち二葉館」に展示。市民で選定する「市民遺産」として大切に残していくことを目的にする。「文化のみち二葉館」元副館長で、同企画を立ち上げた兼松さんは「『それが好きだ』という気持ちを集めたかった」と話す。
「文化のみち」と呼ばれるエリアは、「ここ10~15年でマンションや駐車場などの建設でガラリと変わってしまった」という兼松さんは、「江戸時代から生き続けているムクの木が生えている土地がマンション建設で取り壊されそうになった時、個人でその土地を買い、木を守った方もいるなど、いろいろな人の力で今残っている」というエピソードも明かす。「住んでいる場所や通勤途中などどこでもお気に入りのものがあると心が豊かになったり、安らぎにつながると思う」とも。
応募方法は、チラシやホームページからダウンロードした応募用紙に必要事項を書き込み送付。絵や写真などは応募用紙に収まらないものでも、「どこどこが好き」という一言だけでも歓迎するという。
展示期間中、「文化のみち」のガイドボランティアのひとりが撮りためていた、現在と20~30年前の写真も展示する。
応募期間は8月31日まで。展示期間は9月13日~10月13日。「文化のみち二葉館」入館料が必要。