愛知国際放送(名古屋市東区東桜1)は6月15日、外国語FMラジオ放送「RADIO-i(レディオ・アイ)」の放送を今年9月30日で終了すると発表した。コミュニティーFM 以外でのラジオ局の閉局は全国で初めて。
1999年の設立以来、愛知県を中心とした東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡西部)で外国語FM放送事業を展開してきた同局。愛知万博の開催や中部国際空港(セントレア)の開港を期に進む地域の国際化を捉え、阪神淡路大震災の教訓を生かしながら、地域に住む外国人への情報提供を中心に展開してきた。
しかし開局当初から広告収入が振るわず、今年3月に開局10周年を迎えるにあたり、1月には番組内容を大幅に見直し大規模な番組改編を行ったが、2010年3月期には累積赤字が28億8,000万円に達するまでに。「経営好転につながる可能性は乏しい」と判断し、閉局を決断した。
同社は医薬品製造などを手掛ける興和(中区)の100%子会社であるため、興和からの出向社員などで運営を行うなど、経費を削減し損失を抑えた運営も展開してきたが、続く営業赤字からの脱却には至らなかった。
閉局のニュースが流れた同日、同局にはリスナーらから「本当にやめてしまうのか」「なんとか継続の手だてはないのか」などの問い合わせから、「帰国子女の子どもを持つ母だが、子どもたちにネーティブの英語を聴かせられなくなってしまうことがとてもさみしい」という意見まで多数寄せられているという。
「もちろん閉局しない方向をいろいろと模索したが…」と同局担当者。「比較的トークを少なめに音楽中心で展開してきたことや、バイリンガルで展開してきたことが独自性のあるラジオ局として認識され、根強いファンの方も多くいる。個人的にはどこか継承していただけるとこが出てきて、存続できればと思うが、負債額を見るとそれも難しいだろう」と肩を落とす。「9月30日までは通常通り放送を行うので、今まで通り聴いていただければ」とも。
放送停止は30日24時を予定。