大須の写真店「レインルーツ」が移転-ギャラリーなくし現像に特化

移転した「レインルーツ」でプリント機械に向かう湯地さん

移転した「レインルーツ」でプリント機械に向かう湯地さん

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 大須に2005年にオープンし、名古屋を中心に全国の写真ファンから支持を集める写真店「rainroots(レインルーツ)」(名古屋市中区大須3、TEL 052-262-6518)が4月15日、同じ大須3丁目内で移転オープンした。

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 フィルムのアナログ機プリントにこだわり続けている同店では、全ての作業が同店オーナーの湯地信愛(ゆじのぶよし)さんの手によって行われている。アナログプリント独特の風合いと、湯地さんのオペレーターとしての感性が話題を呼び人気を集めている。「写真の焼き手は、『共感者』」という湯地さん。プリントは、現像を依頼する利用客の雰囲気や好みなどを意識しながら行うことが多いという。

 移転前の店舗では、併設のギャラリーで、さまざまな作家などの作品展示を行っていたが、移転後はギャラリースペースをなくし、プリントスペースと写真集などを置く小スペース、暗室のみの空間にした。店内は前店の時につながりができた建築家や家具職人の友人ら5~6人とともに手作りで作り上げ、ハンドメード感あふれる温かい空間に仕上がっている。

 店の入り口を入り、まず目に飛び込むのがプリント機械。「ここを訪れたお客さんが最初に驚くのは、入り口すぐに作業スペースがあること。裏口から入ってしまったと勘違いする方もいる」と話す湯地さん。作業スペースを抜けると、テーブルと椅子を置いた空間があり、フリーペーパーや写真集、写真小物などを置く小スペースを設ける。その奥には暗室を設けた。

 「昨年の暮れまで、移転することは全く考えてなかった」と湯地さん。移転理由について、「これまでは、写真のプリント作業のほかに、ギャラリースペースの管理やウェブの管理などもあり、なおかつ子どもができて家族が増えたことでいろいろと意識が散漫になっていた。これではお客さんに対して失礼だど思った」とし、「これから10年、20年と写真屋を続けて行くために、店舗的には多少狭くなったが、軸を強くすることで、これからに向けたレインルーツとしての形をしっかりと作っていきたい」と意気込む。

 あくまでも「フィルムのアナログ機プリント」にこだわる湯地さん。「アナログとデジタルは全く別もの。最近のデジタルプリントはとても進化しているので、それほど仕上がりに差を感じないかもしれないが、『何かが違う』と感じる人は多い。実はこの感覚がとても大切」だという。「そうした感覚の下、デジタル世代の人にアナログで撮った良さを提示できれば、きっと驚く人が多いのでは。そうなれば、フィルムは古典的なものではなくて、革新的なものになり、必ず残って行くものになっていく」とも。

 名古屋の写真文化については、「店を始めたころはトイカメラを使う人が多かったが、最近では一眼レフや中判カメラを使う人が増えてきた。大切なのはフィルムで写真を撮ろうと思う環境が整っていること。そうした面で言えば名古屋は環境が整っているので、他県に比べてもカメラを首から提げて歩いている人を多く見かけるので成熟してきていると言えるのでは」とほほ笑む。「今後もさまざまな活動を通して、写真文化を広げることや良さを伝えることをしていきたい」とも。

 営業時間は12時~20時。水曜定休。

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