愛知県美術館(名古屋市東区東桜1、TEL 052-971-5511)で7月13日、企画展「マックス・エルンスト-フィギュア×スケープ」が始まった。
シュールレアリスムを代表する画家の一人として知られるマックス・エルンストの国内外から集めた作品計120点を展示する同展。コラージュ、油彩画、版画、彫刻、書籍など幅広いジャンルを横断しながら自由自在に技法を操るエルンストの魅力を紹介する。
企画を担当した学芸員の副田一穂さんは「横浜美術館、宇都宮美術館との3館共同企画で行う日本では11年ぶりの大きなエルンストの展覧会。今回はシュールレアリスムという枠を外し、フィギュア、スケープという2つのキーワードに注目することで、エルンストの新しい見方を紹介する」と話す。
「フィギュア」とは画面に登場する天使、動植物、怪物のような不思議で魅力的な存在。「スケープ」とはフィギュアたちがうごめいている場所や風景のこと。エルンストは木切れ、金網、空き缶などさまざまなものを使い、偶然の力も借りてスケープを生み出す。その風景の中に登場するフィギュアは、同じ名前で呼ばれていても作品ごとに姿ががらりと変わる。それなのに一定の人格を備えたキャラクターのようにも見えるという。
見どころについては、「エルンストが数多くの作品に登場させている鳥のイメージはさまざまな姿で表現されているが、その多くは彼の分身。初期から晩年までの多彩な作品の中に隠れている鳥を探しながら進んでいくことで彼の豊かな作品世界に入り込んでいくこともできる。不思議な画面がどんな技法で作られているのかを実際に間近で見て、その多彩さを確かめてほしい」とも。
関連イベントとして、7月28日は明治学院大学准教授の齊藤哲也さんらをゲストパネリストに迎えたパネルディスカッション「フィギュアを支える世界‐エルンストのスケープ」を開催。8月4日はワークショップ「こすって・きって、キャラクターのつくりかた」を「アートラボあいち(中区錦2)」で開く。期間中、学芸員によるギャラリートークも予定する。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで、入館は閉館時刻の30分前まで)。観覧料は、一般=1,200円、高大生=900円、中学生以下無料。9月9日まで。