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大須「シアターカフェ」が1周年-杉野希妃さん出演作品を特集上映

来名した杉野希妃さん

来名した杉野希妃さん

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 大須の映画上映スペース併設カフェ「Theater Cafe(シアターカフェ)」(名古屋市中区大須2、TEL 052-228-7145)が4月で開店1周年を迎える。同店では4月20日から「杉野希妃という女性(ひと)」と題し、女優、プロデューサーとして活躍する杉野希妃さんの作品を特集上映する。公開に先立ち、来名した杉野さんが作品の見どころを語った。

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 杉野さんは慶応義塾大学在学中の2005年、留学した韓国でオムニバス映画「まぶしい一日」の「宝島」編に出演して女優デビュー。帰国後、2008年に映画「クリアネス」に主演。同年、映画制作会社「和エンタテインメント」を自ら立ち上げる。2010年には主演とプロデューサーを兼任した映画「歓待」が「東京国際映画祭」日本映画・ある視点部門作品賞を受賞した。その後も国内外で活動を続け、2011年の東京国際映画祭では「アジア・インディーズのミューズ」という特集が組まれた新進の映画人だ。

 今回の特集で上映するのは、3プログラム4作品。Aプロ「大阪のうさぎたち」(イム・テヒョン監督)は主演、プロデュースを務めた韓国・日本合作映画。原因不明の現象で人類の90%が死亡した世界で、不安と焦燥にかられた男と女が最後の時間をともに過ごす。「とても珍しい経緯で携わった作品。大阪の映画祭で来日した監督が、ゲストツアーの最中にカメラを回していた。面白そうですねと言ったら、急きょ出演することになった。日本で公開してほしい作品だと思ったので、撮影途中にプロデューサーにもなった。映画の撮影は、スケジュールを決めて、脚本があって撮るという流れが普通。でも、撮ろうよという一言で映画は撮れる。その時にしか作れない、その時にこそ撮れる奇跡的な瞬間があるかもしれないと感じた作品」と杉野さん。

 Bプロはデビュー作「『まぶしい一日』より『宝島』」(キム・ソンホ監督)と「避けられる事」(エドモンド・ヨウ監督)の2作品。「宝島」は祖父が残した宝物を探しに韓国済州島を訪れた日本人の女の子二人を描いたロードムービー。「韓国に留学した時にオーディションを受けて出演した。中高生のころは宝塚歌劇団に入りたかったし、女優になりたい気持ちがずっとあった。演技の経験が全くなかったので、本人としてはいまだに見るのがつらい映画。でも作品としては2人の女の子の爽やかな、きらきらした青春映画。とても初々しい私が見られる」とほほ笑む。「避けられる事」は、モノクロとカラーを駆使した美しい映像の作品。同級生の男性が交通事故で死亡したことをきっかけに再会した女友達が一夜を語り明かす。すると、2人にまつわる因縁が明らかになっていく。「心の邂逅を描いた作品。映像がすごくきれいで絵画のよう。共演の篠原ともえさんは、デビュー当時の元気なシノラーのイメージとは違う、しっとりとした色気のある女性を熱演している。プロデューサーとして、篠原さんをキャスティングできたことは良かった」と振り返る。

 Cプロ「マジック&ロス」(リム・カーワイ監督)は、香港のリゾート地で偶然、同じホテルを利用した2人の女性が、島の不思議な力に取りつかれて奇妙な関係に陥っていくファンタジックな作品。杉野さんは主演のほか、プロデューサーとして監督、俳優、スタッフなど7カ国にわたる国籍のメンバーと力を合わせ、映画を作り上げた。「スタッフが多国籍になったのは意図的で、撮りたかったのは無国籍な映画。いろいろな国の人たちを入れて、どこの国の映画か分からなくしたかった」と話す。

 女優としても、プロデューサーとしても高い評価を受けている杉野さん。「日本は役者が受け身の立場で、自分からこういうことがしたいと発信できず、自分からつかみ取ることがなかなかできない体制。ならば、自分が出たい作品を自分で作るのが、一番正しいエネルギーの使い方だと思った。自分で全部をやりたいとは、まったく思っていない。女優だけ、プロデュースだけの作品もある。作品にとってどうすればいいのかを最優先に考えている」

 「アジア・インディーズのミューズ」の呼び名については、「私には大きい名称で、付けていただいた方に感謝」と照れ気味の杉野さん。「アジアと同じくらい欧州や南米の映画も好きなので、いろいろな国の人と一緒に作品を作りたい。インデペンデントという言葉には戸惑いがある。いろいろな人からお金を集め、多くの助けを借りて作った映画はインデペンデントではないと思っている。低予算だろうと、小さい会社だろうとこだわりはない」

 最新作「おだやかな日常」では、震災後の不安と孤立に苦しむ母を演じた。幻想的な映画から社会問題を捉えた作品まで、取り組むジャンルは多彩だ。公開を待つ出演作に加え、監督としての企画も進行しているという。「自分がやりたいと強烈に思う作品があれば、自分で企画してシナリオを書き、監督もやるつもりでいる。固定観念を無くす、枠を無くすことが自分の映画作りのテーマ。映画はどんなジャンルでも好きなので、何でもトライしたい」とも。

 最後に杉野さんは「名古屋はデビュー作が日本で初めて上映された街。訪れた回数は少ないが、自分の原点のように感じる場所。少し風変わりな作品を見たいという方には、うってつけの特集。プレゼントもあるので、ぜひ3つのプログラムを見てほしい」と来店を呼び掛ける。

 料金は、1プログラム券=1,500円、2プログラム券=2,500円、3プログラム券=3,500円(全て1ドリンク付き)。定員は各回15人。上映期間中、同店でスタンプラリーを開催。3プログラムを全て鑑賞した人には、抽選で杉野さんのサイン入りグッズを進呈する。上映時間、スタンプラリーの詳細は同店ホームページで確認できる。5月6日まで。

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