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栄「G/Pit」で劇団あおきりみかん「だるい女」 8月に福島公演も

G/Pitで「だるい女」を上演する「劇団あおきりみかん」の鹿目由紀さん(左)、真崎鈴子さん

G/Pitで「だるい女」を上演する「劇団あおきりみかん」の鹿目由紀さん(左)、真崎鈴子さん

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 栄の劇場「G/Pit(ジー・ピット)」(名古屋市中区栄1)で7月11日~27日、「劇団あおきりみかん」の舞台「だるい女」が上演される。公演に先立ち、作・演出の鹿目由紀さんと主演の真崎鈴子さんが作品の見どころを語った。

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 同劇団は1998年結成。奇抜なシチュエーションの中で飛び交う会話や関係の「ずれ」をユーモラスに描き、現代社会の問題を浮かび上がらせる喜劇で、愛知県芸術劇場演劇フェスティバル、名古屋市民芸術祭などのコンクールで優勝。2011年には名古屋市芸術奨励賞を受賞した。主宰の鹿目さんは名古屋市文化振興事業団芸術創造賞、松原英治・若尾正也記念演劇賞などを受賞している。

 不妊治療に悩むみゆき(真崎さん)は、悲惨な話を持つ人々にネットで呼び掛け、それぞれの話を聞く会を開く。彼女は2011年3月に福島に住んでいた過去があった。震災前の1日と今が時間と場所を飛び越えて交互に語られ、みゆきの現在の問題と数年前の気持ちが次第にリンクしていく。

 鹿目さんは福島県出身。故郷での公演は今回が初めてだ。「高校まで会津若松で暮らし、大学から名古屋に移り住んだ。旗揚げした時から、いつか福島県で公演したいと思っていた。特に2011年の震災があってから、地元でやりたいという気持ちがさらに強まった。今回は福島在住のファンが『あおきりみかんを福島に呼ぶ会』を作り、いろいろな場所に働きかけてくれた。おかげで、念願の福島公演が実現した」と話す。

 「自分の同年代の女性を、まるで私小説のように書いた」と鹿目さん。「1人の女性が悩み、成長していくさまを描いた作品。福島公演が決まったことで、そこに故郷への思いも融合されて完成した。震災の前と後では、日常の小さなことでも、見方や感じ方が変わったという人は多いと思う。人の死などの大きな出来事ではなく、普通の女性の個人的な悩みの中で、その変化を伝えたかった」と話す。

 真崎さんは初主演。「みゆきは被災体験があるものの、どこにでもいるごく普通の女性。しかし、いろいろな人のぼう大な感情や思いを受けとめる。時間も空間も交錯する物語なので、自分の中できれいに整理できず、最初は戸惑った」と話す。「大変な役でプレッシャーはあったが、メンバーやスタッフの助けで頑張ることができた。見た人の心がほっと軽くなるような、悩んでいる人の背中をちょっとだけ押してあげられるような舞台にしたい」とも。

 鹿目さんは「私は震災を現地で体験しなかったが、親が福島県にいた。距離が離れた地で震災を知り、自分の無力さやもどかしさは感じた人は、名古屋にもほかの街にもたくさんいたと思う。現地に行って直接力になることが一番だが、考えるだけでも大切なこと。この距離感がうまく伝わったら、うれしい。少し笑って、少し考えて、家路についていただけたら」と多くの来場を呼び掛ける。

 料金は一般=2,800円(当日券は200円増)、大学・専門学生=1,800円、高校生以下=1,200円。

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