名古屋テレビ塔(名古屋市中区錦3)が7月12日、同塔の免震工事を主体とした全体改修工事の現在の工事の状況や今後のスケジュールについて発表した。
1月7日に休業し2020(令和2)年夏のリニューアルオープンに向け、工事を進める同塔。現状は中身をほとんど撤去し、現状は窓枠、屋根、床、エレベーターピットなどが残るのみのだと言う。大澤和宏社長は「今日で工事が始まって187日、約三分の一の工程が終わった。ほとんど裸の状態。これからどういう風になるか無限の可能性がある。21世紀に活躍できるテレビ塔にしていきたい」と意気込みを見せた。
一般的なタワーと比べ同塔は重心位置が低く地震時に倒れにくい構造物で、これを生かした免震工事を行うという。免震工事では既存のコンクリート柱脚を解体し、新しいコンクリート基礎を構築した後、免震装置を設置する。塔を支える4本の脚は外側へ開こうとする力が発生し、改修前は基礎で4本の脚を結び外側への開きを抑えていたが、免震化した塔は基礎と切り離すため機能しなくなるため、今回新たに「タイビーム」で4本の脚を結び脚の開きを抑える。日建設計執行役員設計部門プリンシパルの若林亮さんは「テレビ塔の足元が外に開く力をどう抑えるかがポイント。掘削も浅くでき、解体範囲を少なくする改修方法によりローコストを実現できる」と話す。
西側にエレベーターと階段を設置する棟を増設する。そのほか脚元のアーチ、建屋内部の補強も行う。
改修前は震度5程度で鉄筋の一部が破断する恐れがあったが、免震改修で「南海トラフ地震」を想定した震度6強程度の大地震に対しても大きな被害が生じない構造物になるという。「免震装置の寿命はメーカー推奨値60年だが、メンテナンスなどでそれ以上保つことができると考えている」(若林さん)。
テレビ塔自身が行う工事費はおおむね30億円。テナントが行う工事費は未定のため、総工費は未定。