「大須密着型」フリーマガジン「ばらばら」が2月25日、発行された。
「大須密着型」フリーマガジン「ばらばら」の「大須、深発見。」の内容の一部
ウェブ・印刷関連事業を手掛ける「ニューキャスト」(名古屋市中区千代田3)内に製作委員会を設け発行する同マガジン。愛知県が実施するWebマーケティングデザイナー科の職業訓練プログラムに付随する企業実習の活動で作られた。
同社の川原正隆社長によると、2017(平成29)年に同社の新入社員に対するプロジェクトとして、フリーペーパー作りを企画したのが始まり。「何か教えるより、新人が自分たちで作ることで楽しく学べるのでは」と考えた。近くて取材に行きやすく面白い場所という理由で大須を題材にすることにした。
この企画を職業訓練の企業実習に活用。「クリエーターが育つ環境を作りたい」(川原社長)という思いで実習生の受け入れを行う。「専門の学校で勉強していなくてもフリーマガジン作りに興味を持って、素人でもチャレンジできる場を、という考え。実習生の皆さんは出会ってみると面白い人。前職のスキルや本人の経験を生かし、思いも寄らないことが起きる」と話す。県からの助成金などはなく、同社が無償で担っているという。
今回で4号目。同社に1月から実習生として所属した6人が2カ月の間でテーマ、内容、取材交渉、取材、執筆、撮影、配布などを担当した。「会社としてはサポートするだけで自由に作ってもらった」。テーマも内容も毎回、担当者により作られるものが異なるので「ばらばら」。
4号目のタイトルは「大須、深発見。」。メンバーの一人の藤井麻有子さんによると、気になるが中が見えず入りづらい、路地などにあり気付きづらい個人経営の店舗の特集がメイン。そのほか、大須のデリバリーグルメ情報についても紹介している。飲食店、ボードゲーム店、文鳥占い店、中古レコード店の紹介を含め、20店舗程度を掲載。そのほか、大須で見つけた珍しいスポットや、大須の人をリレー形式で紹介するページも。
大須に詳しいメンバーがおらず、素人なりに、大須の街を歩いてみて自分たちが興味を持った店を取り上げた。あえてジャンルを問わないことで、さまざまな層の人に手に取ってもらうよう狙った。
喫茶店の取材をした松尾賢さんは福岡県からから参加。「自分のように外から来る人の目線を生かした。喫茶店のモーニング文化がどんなものなのか興味があり取材した。店名から店の歴史まで話を聞くことができた」話す。自身で見つけた以外の店を取材することもあり、松尾理慧さんは液体を熱した水蒸気の香りを楽しむ嗜好(しこう)品「ベイプ」の店を取材。「自分では行かない店を取材し、面白さや店の方の人柄も知ることができた」。藤井さんは「大須の人が温かかった。店同士の関わりでつながっていく面白さを感じた」と振り返る。
発行部数は1000部で掲載店舗を中心に設置する。「仕上がりを見てうれしく、何度も見返した」とメンバーは口をそろえ、笑顔を見せる。ウェブ版サイトや店舗紹介動画も展開する。
次号は「こだわり」をテーマに職人や店の人の人柄に着目した内容にする予定。現在のメンバーが次号のメンバーに受け継ぐ。4月中旬から末の発行を目指す。