建築家・坂茂さんが設計した木質免震構造のオフィスビル「タマディック名古屋ビル」(名古屋市中区丸の内2)の竣工(しゅんこう)式と内覧会が11月24日、行われた。
「タマディック」(本社=東京都新宿区)は、自動車、航空・宇宙、FA・ロボットなどの設計開発・生産開発・解析業務を手掛ける。
坂さんはこれまで、世界初の木造7階建てビル「タメディア新本社」(スイス・チューリッヒ市)や、木造建築の「スウォッチ・オメガ本社」(スイス・ビール市)などを手掛けてきた。
「タマディック名古屋ビル」は地下1階、地上8階建て。敷地面積は637.4平方メートル、延べ床面積は約4500平方メートル。ひき板を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した集成材「CLT板」をロの字型に組み合わせた中にコンクリートを打設した柱や、同じくCLT板を型枠としてコンクリートを打設した構造の床が特徴。
天井高3.9メートルの1階はエントランス、ショールーム、ものづくりラボを設置。フロア内の階段でつながる2階・3階は執務室で、南・西側の窓には、埋め込まれたセンサーが太陽の明るさを察知しガラス面のグラデーション度合いが変わるスマート調光システムや、床前面から気流を送り出す染み出し空調システムを採用した。
4階は6室を設ける会議室のフロアで、二重構造のガラスで遮音できる。5階・6階は設計室で仕切りのない造りで、什器(じゅうき)や家具でゾーニングし働く環境を作る。7階は移動式の壁で2つまたは3つに分けられる研修室。8階のみ鉄骨の造りで、窓を開けると植栽を設置するテラスと一体で使える多目的ホールとする。社員の食事の場にも活用。一角には社員が仕事の前、後、リフレッシュに使うフィンランド式サウナも設置した。広さは約60平方メートルで、天井や床、ベンチなどにヒノキを使う。8人収容できるサウナルーム、水風呂、2カ所のシャワースペースなどを設ける。
新社屋での営業開始は来年年始から。