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錦二丁目に現代版「会所」 喫茶店と貸しスペースを新たなまちの交流拠点に

「喫茶七番」の完成イメージ

「喫茶七番」の完成イメージ

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 栄エリアと名駅エリアをつなぐ伏見エリアに位置する錦二丁目地区に6月、喫茶店「喫茶七番」と貸しスペース「スペース七番」(名古屋市中区錦2)がオープンする。

「オリマチ錦」の外観。街区の真ん中に広場がある

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 両施設は、「錦二丁目7番第一種市街地再開発事業」により3月に完工した商住複合施設「オリマチ錦」の商業エリアに位置する。手がけるのは、町内会、まちづくり協議会、地域の企業で構成する協同組合が主体となり設立した、錦二丁目かいわいのエリアマネジメントを担う「錦二丁目エリアマネジメント」。同社は「オリマチ錦」の商業エリアのテナント企画も担当する。

 錦二丁目地区は、かつては日本三大繊維問屋街に数えられるほど栄えたが、バブル崩壊後の1990年代から2000年代にかけて空きビルや駐車場が増加するなど、まちの衰退と空洞化が進んでいた。同社の阿部充朗さんは「空洞化が進んだことで一時は治安も悪化した。当時の地元住民や企業は、危機感を募らせていたことと思う」と話す。

 まちの課題解決と再活性化を目指し、2011(平成23)年に「これからの錦二丁目長者町まちづくり構想」を策定。地域コミュニティーの形成や公共空間マネジメント、土地と建物のマネジメント、低炭素まちづくりを「エリアマネジメントの柱」に掲げ、地元主体で新たなまちづくりを推進してきた。構想では「再開発型による会所と路地の実現」が提示されており、これを受けて新たなまちづくり拠点として喫茶店と貸しスペースを立ち上げることになった。

 阿部さんは「江戸時代の名古屋の城下町では、街区の真ん中に神社や寺院があった。そこは『会所』と呼ばれ、地域のコミュニティースペースのような役割を果たしていた。この地域で親しまれてきた文化になぞらえ、地元住民やビジネスパーソンなど、錦二丁目地域や周辺地域にゆかりのある人たちの交流の機会を生む、現代の『会所』をつくりたいと考えた」と話す。

 1階にオープンする「喫茶七番」では、名古屋の喫茶文化を受け継ぎ、コーヒーや軽食を提供する。目の前の広場にはテラス席を設ける。休日には広場でマルシェやイベントを催すことも予定しているという。営業時間は平日=7時30分~21時、土曜・日曜・祝日=8時~17時。

 2階の「スペース七番」には、レンタルキッチン「スペース1」(レンタル料1時間4,400円)と、会議室「スペース2」「スペース3」(以上レンタル料1時間3,300円)がある。「スペース2」と「スペース3」は可動式のパーティションで仕切られており、パーティションを移動させて1つの会議室として利用することもできる。利用可能時間は9時~21時(土曜・日曜は18時まで)。いずれも最小1時間、最大8時間利用可能。ラウンジ空間には豊田市の間伐材を用いたキッズスペースや、錦二丁目地区のまちづくりに尽力した故・延藤安弘さんの蔵書の一部を紹介する「延藤文庫」を備える。ラウンジ空間は予約不要で利用できる。

 「このまちを盛り上げる、1000人の仲間を募ることを目標に」(阿部さん)、5月20日までクラウドファンディングを行っている。集まった資金は内装費や設備費などに充てるという。

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