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名古屋市市政資料館で100周年イベント 旧控訴院の建物の希少性伝える

「名古屋市市政資料館」外観

「名古屋市市政資料館」外観

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 旧名古屋控訴院庁舎を名古屋市の公文書館として活用する「名古屋市市政資料館」の建物が、9月で創建100周年を迎える。記念として、同館では今月から「名古屋控訴院100年祭」を開催している。

「名古屋市市政資料館」中央階段室

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 1922(大正11)年に名古屋控訴院および地方裁判所、区裁判所庁舎として建てられた同館。1989(平成元)年から市政資料館として使われ、公文書やその他市政に関する資料などを保存・公開している。

 同館担当者の山口恭充さんは「裁判所の移転後に取り壊される予定だったが、市民からも撤去を惜しむ声が上がったことで保存・活用につながった。旧控訴院の建物は現在、全国で名古屋と札幌にしか残っていないため希少性が高い」と話す。同館は関東大震災の前年に建てられたことから、「震災以降は大規模な建物にレンガが使われなくなったため、レンガ造と鉄筋コンクリート造が組み合わさった建物としては建築史的にも貴重」とも。

 今回の100年祭は、「名古屋で最も美しい様式建築の100周年を祝う祭り」。山口さんは「『名古屋で最も美しい様式建築』とは、建築史家の飯田喜四郎さんの言葉。飯田さんは、この建物を『赤いレンガ調のタイルと白い柱型で構成されたネオ・バロック調の外観は華やかで変化に富み、正面中央にドームを頂く姿は雄大』とたたえた」と説明する。

 外観・中央階段室・復原会議室は1984(昭和59)年、国の重要文化財に指定された。「外観はどの方向から見ても左右対称で、レンガの赤・花崗岩の白・屋根のスレートの黒の3色の配置が重厚さと軽やかさを両立させている。中央階段室は吹抜けで正面踊り場と天井がステンドグラスで彩られ、復原された会議室も見応えがある」と山口さん。

 100年祭期間中のイベントとして今月1日、館内を巡る謎解き企画を始めた。参加無料で、参加記念品も用意する。市政資料館2階事務室で参加を受け付ける。来年3月31日まで。

 今月6日~19日には、普段は公開していない場所の写真や図面、装飾品、建築資材を公開する企画展示「たてもの百年ものがたり」、10日~16日には、創建当時の判事が欧州渡航から持ち帰った絵はがきや写真などを公開する企画展示「或る判事の記録~100年前の欧州渡航~」を開催。いずれも観覧無料。

 このほか、「100周年特別ガイドツアー」(申し込み受け付け終了)、多治見市モザイクタイルミュージアム主催の「みる×つくる 折り紙建築と特別ツアー」などを開催予定。

 山口さんは「市政資料館の建物について、深く楽しく学べる催しを用意している。ただ美しいだけでなく、市民が守った価値ある財産でもある建物について、この機会に知ってほしい」と来館を呼びかける。

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