貼り箱や化粧箱などを製作する「野村紙器」(名古屋市中区千代田5)が8月30日から、オンラインサービス「SHIKIORI(しきおり)」の提供を始めた。
同社は1907(明治40)年創業。「付加価値のある箱づくり」をモットーに、職人が手作業で箱を製作する。規格サイズの製品はもちろん、オリジナルの貼り箱も100個など小ロットの注文から対応する。
「SHIKIORI」はオンラインで貼り箱を50個から発注できるセミオーダーメードサービスで、箱の形状やサイズ、使用する紙、印刷の有無などが指定できる。
同社の野村菜月さんによると、フリマアプリやネットショップ作成サービスが普及した影響から、個人で制作した商品を販売する人から、貼り箱発注に関する相談が多く寄せられるようになったという。野村さんは「個人客の中には初めての発注に不安を覚える人も少なくない。気軽に利用できる注文サービスの需要を感じた」と振り返る。
同社ではサービス立ち上げに当たり、印刷会社を営むデザイナーの協力の下、専用の注文フォームを作成。一般的な定形サイズをアクセサリーやシャツ、食器など、内容物のジャンル別にイラストで解説。発注者の細かなオーダーにも柔軟にも対応できるよう、定形外のサイズは幅・奥行きが50ミリ以上、高さ12ミリ以上であれば指定できる仕様にした。野村さんは「発注者の立場に近いデザイナーの意見を取り入れ、初心者にも理解しやすく、直感的に入力できる注文フォームが出来上がった」と胸を張る。
選択できる箱の形状は、身箱にふた箱をかぶせる「かぶせ式」と、ふたが出っ張らない「印籠式」の2種類。箱の表面を覆う紙は質感別に3分類し、手触りのあるマットな紙は色数が29種類と豊富。紙にデザインをあしらう場合は、オンデマンド印刷や箔(はく)押し印刷が選べる。価格は、かぶせ式=50個1万3,550円~、印籠式=50個2万750円~。別途送料(1,000円~)がかかる。注文から2、3週間で納品される。
野村さんは「職人の手仕事の精巧さとぬくもりを感じられる貼り箱に、四季折々の贈り物を込めてほしいとの思いから『SHIKIORI』と名付けた。中に入れる物だけでなく、箱も商品の一部。楽しみながら箱の形状や紙を選んでもらえたら」と笑顔を見せる。