学ぶ・知る

風媒社が「戦後名古屋サブカルチャー史」出版 名古屋大衆文化の変遷を記録

名古屋の大衆文化の変遷を豊富な写真と共に紹介した書籍「写真で見る戦後名古屋サブカルチャー史」が発売。編集・執筆を担当した「名古屋タイムズアーカイブス委員会」の長坂英生さん(栄の街角で撮影)

名古屋の大衆文化の変遷を豊富な写真と共に紹介した書籍「写真で見る戦後名古屋サブカルチャー史」が発売。編集・執筆を担当した「名古屋タイムズアーカイブス委員会」の長坂英生さん(栄の街角で撮影)

  • 16

  •  

 名古屋の戦後から昭和末期までのサブカルチャーの変遷を紹介した書籍「写真で見る戦後名古屋サブカルチャー史」が9月29日、風媒社(名古屋市中区大須1)から発売された。

風媒社から出版された「写真で見る戦後名古屋サブカルチャー史」

[広告]

 同書は、1946(昭和21)年に創刊し、2008(平成20)年に休刊するまで、60年以上にわたり名古屋の大衆文化の動向を報じ続けた新聞「名古屋タイムズ」に掲載された記事から、さまざまなジャンルのサブカルチャーの興隆をまとめたもの。同紙の記事資料を保存、管理する「名古屋タイムズアーカイブス委員会」が、豊富な記事の中から約250枚の写真を選び、新たに解説文を加えた。

 選ばれた題材は、漫画とアニメ、ゲーム、ポピュラー音楽から、ラジオの深夜放送、格闘技、アングラ演劇、ストリップまで多種多様。終戦翌年の1946年から昭和が終焉する1988(昭和63)年まで、四十数年の名古屋の大衆文化を年代順に紹介していく。名古屋、日本の主要な出来事を年代別にまとめた年表も掲載する。

 編集、執筆を担当した同アーカイブス委員会の長坂英生さんは、元名古屋タイムズ社会部デスク。「ストリップや紙芝居屋など、今の人々が考える範囲のサブカルチャーには収まらないバラエティーに富んだ内容。それぞれの時代に大衆が支持した文化を『戦後名古屋サブカルチャー』としてまとめている。消えてしまったものもあり、形を変えて残ったものもあるが、変遷をまとめた資料は少ない。後の人が名古屋文化を検証できるように、本に残すべきと考えた」と制作の経緯を話す。

 「東京や大阪から流入したものも多いが、改めて名古屋文化の個性と魅力に驚いた」と長坂さん。「学生運動の高まりとともに名古屋の若者たちに根付いたフォークソングの盛り上がりや、CBCが民間ラジオの第一声を担ったことから始まり地元のスターを生み出した深夜放送など、独自に熟成して全国に発信されていった文化もある。人々の消費の仕方から名古屋文化の特徴が見えてくる」と話す。

 長坂さんは「なごやめしも名古屋の魅力だが、もっとディープで多様な文化がこの街には生まれてきた。当時を知る人たちには懐かしくて楽しめる写真が満載だが、今を生きる若い人たちにも読んでほしい。今のサブカルチャーとは大きく違う、人々の心を動かした時代ごとの大衆文化があったことを知ってほしい。その違いを知ることで、好きなもの、のめり込めるものを見つけるヒントにもなるはず」と同書の魅力をアピールした。

 仕様はA5判、222ページ。価格は1,760円。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース