中日新聞社(名古屋市中区三の丸1、TEL 052-201-8811)は10月1日より、地下鉄東山線の電車車両を使用し、環境について考える会議「すごい車内会議」を開催している。同会議は、愛知万博を機に市民の間にも根付いた環境意識を持続していこうと企画されたもので、開催は今年で2回目。
「世界一敷居の低い環境会議」をコンセプトに企画された同会議は、電車内の中吊り広告や駅構内を使用し、各界の著名人が「すごいパネリスト」として発した環境についてのコメントを掲出。それらを電車に乗った市民が見て、それぞれの考えを「すごい市民パネリスト」としてサイトやメールを通じて発信し、それを車内に再び掲出することで「意見交換」が行われたことになり、会議が成立するというもの。
今年の「すごいパネリスト」は、坂本龍一さん(音楽家)、野口健さん(アルピニスト)、大平貴之さん(プラネタリウムクリエーター)、片山右京さん(レーシングドライバー)、田中律子さん(タレント)、野口聡一さん(宇宙飛行士)、須藤元気さん(元挌闘家)、レイチェル・カーソンさん(作家・海洋生物学者)の8人。
「すごいパネリスト」の選考について、企画を担当している電通中部支社クリエーティブ室の都築さんは「一般の人が『この人のコメントなら読んでみたい』と思うような『キャッチー』な人を選んだが、その中にもこっそりレイチェル・カーソンさんのような、『ツウ』な人も選出している」とし、「ディープにも軽くもなりすぎない『程よいエンターテインメント性のある環境企画』にしたいと思い企画した」と話す。
同企画では地下鉄車両1両を全面的に使用しているほか、駅構内にもポスターなどを掲出している。企画は、名古屋市交通局による全面的な協力で実現した。そのほか「クリエーティブ面などさまざまな個所で極力外注に頼らず、関わっているスタッフの手で行うことで経費をかけないようにした」(都築さん)とも。
坂本龍一さんも「この企画とクリエーティブは素晴らしい。参加できて光栄」だとコメントを寄せ、自身の楽曲を同企画のために無償で提供するなど、積極的に協力しているという。坂本さんの楽曲は車両内で「音ポスター」として、各自が持っているヘッドフォンを設置してあるジャックに差し込むことで聞くことができる。そのほか、名城公園の桜の木に聴診器をあてて録音したという「木が水を吸い上げる音」も聴くことができる。
今後の動きについて都築さんは「この企画は継続していくことが重要だと思っている。東京や上海などでも企画したい。世界中の街で『すごい車内会議』をやるのが夢」と話している。また「駅構内で配布しているリーフレットにはQRコードが付いているので、電車を降りたら熱い気持ちを携帯メールで送ってほしい。より多くの人に参加してもらえれば」とも。
「すごい車内会議」車両の時刻表は、オリジナルサイトで確認することができる。同車両の運行は10月31日まで。