プレスリリース

【調査】管理職が「部下育成」の課題を感じる場面 新任「評価」、ベテラン「部下の意欲」、幹部候補「方針浸透」

リリース発行企業:ALL DIFFERENT株式会社

情報提供:




累計13,000社420万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は2024年5月20日~7月17日、当社の管理職向け研修の受講者415名を対象に「管理職意識調査」を行いました。本レポートでは、回答者のうち課長クラス以上の管理職の「部下育成への課題」に焦点を当てた結果を公表します。

〈背景〉管理職自身が抱える悩み・人事担当者が抱く管理職への課題、どちらも「部下育成力」が最大に
前回公開したレポート(*1)より、管理職の最大の悩みは「部下の育成」であることが明らかとなりました。また、当社が人事担当者に対して実施した調査(*2)によると、8割以上の人事担当者が、管理職の「部下育成力」に課題を感じている結果となりました。人的資本経営が注目される昨今、企業が持つ人材価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値を高めるためには、優秀な人材を育成していくことが必要不可欠です。そのため、多くの企業が管理職の部下育成力を重要視しています。本調査レポートでは、「部下育成」についてどのような場面で管理職が課題を感じているか、またその課題を克服するために、どのような取り組みに注力をしているか実態に迫ります。
(*1) 2024年度管理職意識調査(悩み・課題編)
https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240905.pdf

(*2) 「人事の課題」実態調査(社員の育成編)
https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20230126.pdf



■調査結果の概要(一部)
部下育成の課題を感じる頻度
・ステージ* 初期の管理職ほど「部下育成」への課題を感じることが多い 部下育成の課題を感じる場面
・新任は「部下を評価するとき」、ベテランは「部下のモチベーションが向上しないとき」、
幹部候補は「方針・戦略を浸透する時」に部下育成への課題を感じる人が多い
部下育成のための努力
・新任は「部下と積極的にコミュニケーションをとる」、ベテランは「部下の意見に耳を傾ける」。幹部候補は「部下の自主性を尊重する」が他ステージより突出する結果に

*ステージ:管理職を役職や経験値により「新任管理職」「ベテラン管理職」「幹部候補」の三つのステージに分類したもの
■調査結果の詳細
【部下育成の課題を感じる頻度】
約7割の管理職が「とてもよくある・よくある」と回答、「全くない」はゼロ
まず初めに、課長クラス以上の管理職(以下「管理職と記載」)に、「部下育成」への課題を感じることがどれほどあるか質問しました。結果、「とてもよくある」と回答した管理職は18.0%、「よくある」は50.0%、「時々ある」は28.2%、「あまりない」は3.9%となり、「全くない」と回答した人はいませんでした。

「とてもよくある」「よくある」と回答した割合は合計で68.0%となり、約7割の管理職が部下育成に対して頻繁に課題を感じていることがわかりました。(図1)



次に、管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と三つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるかみていきます。


ステージ初期の管理職ほど「部下育成」への課題を感じることが多い
「部下育成」への課題を感じることが「とてもよくある」「よくある」と回答した割合を比較すると、新任管理職は76.4%、ベテラン管理職は66.6%、幹部候補は54.1%という結果となりました。ステージ初期の管理職ほど「部下育成」に課題を感じる割合が高くなる傾向にあることがわかりました。(図2)



【部下育成の課題を感じる場面】
3割以上の管理職が部下の「成果や知識・スキル」「モチベーション」が向上しないときに課題を実感
次に、どのような場面で部下育成への課題を感じるか質問しました。

結果、「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」と回答した管理職が35.2%となりました。次に、「部下のモチベーションが向上しないとき」が32.0%、「部下を評価するとき」が28.2%と続きました。

一方、「部下にポジティブフィードバックを行うとき」は2.1%、「部下のキャリア支援を行うとき」は5.3%と低い結果となりました。(図3)



課題を感じる場面、新任は「部下を評価するとき」、ベテランは「部下のモチベーションが向上しないとき」、幹部候補は「方針・戦略の浸透図るとき」
次に、「部下育成」への課題を感じる場面を、管理職のステージ別に見てみます。

結果、各ステージ共通で「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」と回答する割合が最大となり、その割合はステージが高くなるにつれて増加する結果となりました。

新任管理職では「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」(31.1%)の次に、「部下を評価するとき」が30.2%、「部下のモチベーションが向上しないとき」が28.3%と続きました。「部下を評価するとき」は幹部候補の約2倍高くなり、ステージ初期ほど課題を感じる場面であることがわかります。

ベテラン管理職では「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」(33.3%)と同等の割合で「部下のモチベーションが向上しないとき」も最大の結果となりました。次に、「部下を評価するとき」が27.0%と続きました。他のステージと比較すると「部下の状況を把握するとき」が23.4%と幹部候補の2倍以上高い結果となりました。

幹部候補では「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」(41.0%)の次に、「部下のモチベーションが向上しないとき」「方針や戦略の浸透を図るとき」がどちらも27.9%となりました。他ステージと比較したところ、「方針や戦略の浸透を図るとき」は他ステージよりも9.0ポイント以上の差があり、幹部候補になると急激に増加することがわかりました。(図4)



【部下育成のための努力】
46.8%の管理職が「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」ことを努力している
最後に、部下育成のために管理職が努力していることを質問しました。

結果、「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」が46.8%と最も多い回答となりました。次に、「部下からの意見に積極的に耳を傾ける」が44.4%、「部下に期待や役割を伝達する」が42.3%と続きました。管理職が意欲的に部下と交流を図ろうとしている様子が見受けられます。(図5)



新任は「部下と積極的にコミュニケーションをとる」、ベテランは「部下の意見に耳を傾ける」、幹部候補は「部下の自主性を尊重する」が他ステージより突出する結果に
ステージ別に比較をすると、新任管理職が「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」と回答した割合は54.7%となりました。次に「部下に期待や役割を伝達する」が41.5%、「部下からの意見に積極的に耳を傾ける」が38.7%と続きました。

ベテラン管理職は「部下からの意見に積極的に耳を傾ける」が51.4%と最も高く、次に「部下に期待や役割を伝達する」が43.2%、「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」が40.5%と続きました。

幹部候補では「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」「部下からの意見に積極的に耳を傾ける」「部下の自主性を尊重する」が44.3%と同等の割合となりました。

順位は異なるものの、「部下と業務時間に積極的にコミュニケーションをとる」「部下からの意見に積極的に耳を傾ける」「部下に期待や役割を伝達する」ことが各ステージで上位に挙がり、部下を尊重しつつ、積極的に管理職から歩み寄っている様子がわかります。一方、新しい知識・スキルを習得するための項目や、部下育成の推進体制の構築に関しては、回答がほとんど集まりませんでした。(図6)



■まとめ
本調査より、すべての管理職が「部下育成」に課題を感じていることが明らかになりました。特に、新任管理職は76.4%が部下育成への課題を感じることが「とてもよくある・よくある」と回答し、ステージ初期の管理職ほど部下育成に苦戦している様子が見受けられました。

「部下育成」に課題を感じる場面では、「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」や「モチベーションが向上しないとき」が上位に挙げられました。ステージ別に比較すると、ステージ初期の管理職ほど「評価」「目標設定」「コーチング」「業務管理」など、具体的なマネジメント手法において課題を実感していることが明らかとなりました。一方、幹部候補になると「部下の成果や知識・スキルが向上しないとき」や「方針や戦略の浸透を図るとき」など、成果創出や会社の方針戦略の伝達や浸透に難しさを感じていました。

管理職は「部下育成」の課題を解消するため、業務時間に部下と積極的にコミュニケーションを図り、部下の意見に耳を傾けている様子がわかりました。一方、周囲への助言を求める・知識の習得に関する項目は低い結果となったことから、今後は部下育成に対する知識習得への取り組み意識を高めていく必要もあるでしょう。
■CLM(最高育成責任者)の考察
本調査結果から、管理職が「部下育成」に対して感じる課題の多くが、知識やスキルの不足に起因していることがわかりました。特に、新任管理職は「部下を評価する」場面で課題を感じることが多く、幹部候補になると、課題の方向性がより「成果創出」や「方針・戦略の浸透」にシフトしていくことが明らかになりました。


しかし、管理職が部下育成のために努力していることとして「知識・スキルの習得」に関連する項目が低い結果となったことは注目すべき点です。これは、管理職が正しい部下育成の方法を学ぶことで、現状打破に繋がる可能性を示唆しています。


一方で、管理職が周囲からの助言を得ることや知識・スキル習得にあまり積極的でないことを、本人の姿勢だけの問題にしてはいけません。周囲に助言を求められる環境が整っていない、業務過多で時間が取れないなど、周囲の環境に起因することも考慮する必要があるでしょう。これらを解決するために、知識・スキル習得のための定期的な研修や、メンター制度の導入、業務負担の軽減など、組織として仕組みを構築することが重要です。


以上のように、管理職が部下育成において直面する課題を解決するためには、個々の努力だけでなく、組織全体で支援する環境を整えることが欠かせません。これにより、企業全体の人材価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値の向上につながるでしょう。

事業会社を経て、2010年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション株式会社/株式会社ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタント業務・講師業務を通じ、年間100~150社ほどの組織開発・人材育成を支援する傍ら、社内の育成責任者としても活動。大阪支社の立ち上げに参画し、営業リーダーとして年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。日本経済新聞、NHKなどメディア出演多数。
ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部
シニアマネジャー・開発室 室?
CLM(最高育成責任者)
根本 博之(ねもと・ひろゆき)



ラーニングイノベーション総合研究所
人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長 眞崎 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     316名(2024年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate









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