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エリア特集2009-05-01

ZIP-FM 主催のライブサーキット「SAKAE SP-RING 2009」
各担当者が紹介するイベントのオモテ側とウラ側

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 今年で4回目を迎える、地元FM局「ZIP-FM」主催のライブサーキットイベント「SAKAE SP-RING 2009」が今年も5月30日・31日の2日間、栄を中心としたライブハウスとクラブ12会場を使って開催される。

 ライブサーキットは、アメリカ・テキサス州オースティンで毎年開催されるイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に端を発したもので、日本では、大阪のFM局「FM802」が主催する「MINAMI WHEEL(ミナミホイール)」が国内最大規模となる。近隣のライブハウスをまとめて貸し切り、同時多発的にさまざまなジャンルのアーティストが演奏をする、いわば「音楽の見本市」。この期間に多くの音楽関係者や音楽ファンらが、思い思いの会場をハシゴしながら新たな音楽やアーティストとの出会いを楽しむ。これらのイベントを背景に、名古屋最大規模のライブサーキットイベント「SAKAE SP-RING 2009」の裏側を追った。

初回は雨のスタート、発案者の苦労とこだわり

 「2004年あたりから漠然と大須あたりでライブサーキットをやりたいと思っていたが、会社からは『もう少し熟考したらどうか』と、なかなかOKがもらえず…」と話すのは、山口裕寛さん。そんな折、当時飲み仲間だったレコード会社に勤めていた友人と雑誌編集者の友人の3人で「名古屋でライブサーキットをやろう」と盛り上がったことから、現在につながる具体案が固まっていったと振り返る。そして2005年秋、ついにGOサインが。2006年5月の開催にこぎ着けた。

1回目となる「SAKAE SP-RING 2006」。1日開催だった当日は、あいにくの雨に見舞われた。「1回目が雨のイベントはうまくいくと自分に言い聞かせた」と山口さんは笑う。「フジロックも朝霧ジャムもロックオンザロックも…。今まで続いていて、なおかつすてきなイベントはどれも初回は雨に見舞われた」とか。そうした状況のなか、チケットは900枚売れ、街にはパスを首からかけて歩く人が多く見られたという。「首からかけるパスは制作費にコストがかかるが、リストバンドよりも目立ち、お客さんそれぞれが広告塔になってくれる」と、頑として首から下げるパスにこだわった山口さんの思惑も成功した。

「リスクがない所にチャレンジはない」-若手の意見採用

 当時山口さんの上司だった現・業務本部副部長兼営業本部長の杉山博紀さんは「若手からイベントをやりたいと上がった企画だったから、なおのことやってみようと思った」と当時を振り返る。「運営においては問題がいろいろとあったが、フタを開けてみると成功したと言えるのでは」とも。昨年あたりからは来場者の2割は遠方から来ているなという感触もあるとか。全国的な知名度は徐々に上がりつつあるようだ。

また、「リスクがない所にチャレンジはない」と断言し「16~36歳の世代に向けてカルチャーを仕掛けている局だからこそ、こうした積極的な外での活動は大事。興行的に大きな利益を上げるより、継続して行くことでイベントのファンを増やし、地元の良いアーティスト吸い上げる作業が重要」と後押しする。「併せて地元を大切にし、インディーズ・アマチュア・アーティストを応援し、このイベントがファーストステップとなることができれば」と期待を込める。

「基本的には、音楽がとても好きなので、話題となっているバンドがどんな客層でどんな演奏をするのか興味がある。それらを確認できるサカエスプリングは楽しみ」とも話し、「スケジュールが出た段階で、噂だけ先行しているバンドはチェックし見に行く。各バンドの演奏時間が30分で移動時間も30分。会場が離れていると見ることができない演奏もあり、そこは少しもどかしい思いも」と個人的にイベントを楽しんでいる一面も。

昨年までの蓄積を踏まえ、今年ならではの打ち出し方も

 「今年はそれぞれの会場の『色』をしっかり打ち出したい」と話すのは今年のサカエスプリングをメーンで企画しているプロデューサーの加藤智久さん。「あえてジャンルが違うアーティストを1カ所の会場で次々出して、来場者の回遊性を高めることも大切だと思うが、職業柄タテの並びが気になってしまって…」と笑う。「これまでの蓄積があるから、あえて今年は初めてハコごとで『色』を出してみたいと思った。それが吉と出るか凶と出るかは始まってみないとわからない」。

そうした動きを狙ったのは、「送り手の主張が必要なのでは」と改めて感じたことが元になっているという。「売れているものが良いのではなく、それぞれの人の感性で良いと思うものを見つけてほしい。そのための情報発信をしているし、そうすることで名古屋の音楽的な土壌が成熟していく」とも。最終的には「送り手」と「受け手」の間での情報共有における信頼感を築いていきたいと意気込む。

初回から見続ける音楽編集者にとってのサカエスプリング

 「今年は例年以上に新人が多いようだ」と話すのは、ぴあ中部版編集部音楽担当の阿部慎一郎さん。「これまでは誰でも彼でもイベントにとりあえず出演させようという空気があったが、良くも悪くも業界の人がイベントのカラーを理解し始め、『色』が出てきた」と話す。色というのは、「FM局がやっている感じ、メジャー感があること」。同イベントはきちんと宣伝が行われ、メディアの人が多く見に来るイベントとしても定着。そのためこの時期に合わせて新人アーティストのプロモーションをするなど、名古屋での各レコード会社の動きも変わってきているという。

「ライブサーキット形式のイベントがこれからも続いていくだろう」と分析する阿部さん。「お客さんの目線で作られているイベントであるし、そういった面でもブームではなく定着してきていると思う」とも。「ZIP-FMとしての広告塔ともなるイベントであるし、つながりを作るイベントでもある。不況と言われている昨今だが、次につながっていく活動だと思うので、使命感をもって続けてもらいたい」とエールを送る。

ミュージックナビゲーターから見たイベントの魅力

 同局のミュージックナビゲーターのAZUSAさんは、ZIP-FMで番組を持って2年目。それまではアイルランドに留学していたというAZUSAさん。「外から見ていると、サカエスプリングのようなイベントで、ラジオ局として生の情報が提供できることがすごいことだなと思っていた」とAZUSAさん。

「アイルランドで生活している際もフェスにはよく行った。そこでは見知らぬ者同士が音楽を通じて仲良くなることが多々ある。実際自分にもその時に出会った今でも続く友達がいる」と楽しそうに話すAZUSAさん。「これだけさまざまなジャンルの音楽がそろっているからこそ、同じ会場で同じアーティストを見ている人は好きなものが同じだと思うから、そこでは友達を作りやすいのでは」と続ける。「友達同士で行ったとしても、一度解散して思い思いの会場を見て回り、ある会場を集合場所にするのも楽しいかも」と笑顔を見せる。

  「僕にとって、サマーソニックとミナミホイール、そしてサカエスプリングは『音楽の見本市』」と話すのはロック好きで有名なナビゲーター・澤田修さん。「1アーティスト2~3曲だけ見るといった感じでも構わないと自分は思っている。見るときは見まくって、休むときは休む。メリハリを持って楽しんでいる」と話す。実際に1曲見て次の会場に移動するなど、澤田さんのサカエスプリングはアクティブだ。「普段見ないようなジャンルを野次馬根性で見るのも楽しい。とにかく数を見てほしい」とも。

また「いいライブを見ると『音楽を好きで良かった』と思う」と澤田さん。「音楽好きが集まった空間で、みんな笑顔だったりする姿を見ると幸せだと思う。嫌なことも忘れるし、いろいろなことがどうでもよくなる」とほおを緩める。「音楽が好きなことはアイデンティティーだと思う。ファッションだけでも流行だけでもないバンドをこれからも応援していきたい」という思いも。

出演アーティストからの視点は?

 初回から出演している名古屋出身のアーティスト「カルテット」。「初開催の日、エディッツで1発目のライブをまかされていた。イベントの行く末を占うような1発目。どうなることかと緊張していたが、フタを開けてみたら入場規制がかかるほどの盛況ぶり。うれしかった」と振り返るのはMCのeXさん。

「自分たちはヒップホップ畑。でもサカエスプリングではロックやポップスが好きなお客さんもたくさん見てくれていることがわかる」とNALさん。「揺れ方やノリ方が違うから、それらがわかる。そこを一つにすることが僕たちの仕事。お祭り気分で思い思いの楽しみ方をしてほしい」と笑顔を見せる。

「出演後は、事前にチェックしていたアーティストをタイムテーブルと照らし合わせて見に行く」と話すのはSAMONさん。人気のあるライブでは、例え出演アーティストといえども入場規制がかかってライブ自体を見られなかったこともあるとか。「『名前を聞いたことがある』といった理由だけでもフラっと見に行けるのがサカエスプリングの魅力。また普段は敷居が高くて入り辛いブルーノートにクラブ感覚で行けるのも楽しい」とも。「将来は公園でのんびりしながら音楽を聴くことができるステージもあるといいかも」とトラックメーカーのAViAさんは将来のサカエスプリングに思いをはせる。

  今年初めて参加するシンガーソングライターのRie-fuさんは「大阪のミナミホイールに出演したことがあるが、ライブサーキット形式のイベントは、短期間にいろいろなアーティストを見ることができ、そのごちゃ混ぜ感が良くて、純粋に音を楽しめる。タイミングが合えば他のアーティストも見てみたい」とも。


今年注目のアーティストと名古屋をとりまく音楽シーン

 ぴあ中部版の音楽担当、阿部さんが注目しているアーティストは、SISTER JET、シュリスペイロフ、SPANK PAGE、SpecialThanks、BUDDHISTSON、THE BAWDIES、LOVE LOVE LOVE、tokyo pinsalocks、阿部真央、岡野宏典など。「新しい世代が出て来たと感じることができるバンドが多くいる。前の世代とは違う、新しい音を提示しているし、カラっとして王道な感じが好感を持てる」と話す。「格好つけて斜に構えるのではなく、『ちゃんとみんなに聴いてほしい』という気持ちが伝わってくる」とも。

今年は名古屋出身のアーティストの出演が例年より多い。「昔は1アーティストにピンポイントで業界が注目していたが、今では名古屋のバンドの多さが注目されている。そうした状況はライブハウスにとっても情報を発信しやすい状況であるということ。こうした環境が出演アーティストの多さに直結しているのでは」と分析する。

ナビゲーターのAZUSAさんは「名古屋はロックが元気だなと感じる。一つ元気なバンドが出るとその回りも光が当たる環境はすてきだと思う。でもまだまだ埋もれている音楽もたくさんあるから、そこを発掘していきたい。それだけ音楽的に魅力的な土壌」と太鼓判を押す。「東京に行くほどでもないし、大阪までは行かない。そうした土地柄だからこそ、良くも悪くも緩さがあるのは否めず、せっかくすてきな音楽をやっているのに目を付けられないまま終わってしまう人も少なくないのでは」と心配するAZUSAさんは「そういう人こそ、もっとラジオ局を利用してもらえれば」と呼びかける。

「名古屋には、いつ売れてもおかしくないバンドがたくさんいる。もっともっとインディーズを盛り上げようとする空気感が街全体に欲しい」と話すのはナビゲーターの澤田修さん。「いいと思ったものを個人個人が発信して、応援していこう」と呼びかける。

デビューして3年目を迎える「カルテット」は名古屋の音楽シーンについて「同じ地元で頑張っている音楽仲間が全国レベルで活動している様子は、刺激になることが多い。インディーズで頑張っているアーティストらがいいスパンでメジャーフィールドに上がっていくことができればなお望ましい。自分たちは自分たちで『フロム・ナゴヤ』を歌いながら、地元名古屋の音楽シーンを底上げしていきたい」と話す。「ゆくゆくはサカエスプリングで名古屋のアーティストしか出演しない『名古屋デイ』をやってもいいのでは」との意見も。

新たな企画の展開も視野に…さらなる発展に向けて

 「ライブが終わった翌日に、各ライブのレビューが載った『号外新聞』を発行してみたい」と話す初回イベント企画者の山口さんは、イベントアイデアの宝庫だ。そのほか、あるスペースには出演アーティストの情報がすべて集まったブースを作ったり、ラジオ電波を使用したディスコを展開したり、名古屋テレビ塔をライブ仕様のライティングにしたり、会場間の移動にレンタサイクルを取り入れたり…。さまざまな全国のイベントを参考にサカエスプリングへの展開を模索している。「今後はメディア間の隔たりなく、全体的な街の活性化につながっていけば」という思いは各担当者で共通しているように思う。今後の広がりに期待したい。

今年の開催は5月30日・31日=13時~。前売り/1DAY PASS=3,000円、2DAYS PASS=5,000円、当日/1DAY PASS=3,500円、2DAYS PASS=5,500円。

SAKAE SP-RING 2009

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