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名タイ昭和文庫「大須レトロ」発売-戦後の街の変遷、報道写真で伝える

「名古屋タイムズアーカイブス委員会」長坂英生さん(左)と「樹林舎」野村明紘さん(右)

「名古屋タイムズアーカイブス委員会」長坂英生さん(左)と「樹林舎」野村明紘さん(右)

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 昭和時代の大須の街を豊富な報道写真と新聞記事で紹介する単行本「大須レトロ」が9月30日、樹林舎(名古屋市天白井口1)から発売された。

 同書は、2008年に休刊した名古屋タイムズが残した膨大な写真、記事資料を紹介する出版プロジェクト「名タイ昭和文庫」シリーズの第2弾。4月に出版された第1弾「名古屋城再建」に続く発売となる。

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 昭和20~30年代に名古屋タイムズが報道した大須の記事を中心に構成。第2次世界大戦の終わりから復興し、現在の活気ある商店街になっていく大須の姿を、約150枚もの豊富な掲載写真で紹介している。

 写真と記事を提供した「名古屋タイムズアーカイブス委員会」の長坂英生さんは、同紙の元社会部デスク。「終戦直後に庶民派の新聞としてスタートした名古屋タイムズは、創刊から大衆文化の発信地である大須を報道し続けた」と、街と新聞の長く深い関係を話す。

 「大須は江戸時代の門前町。遊郭から始まって、芝居、映画と、常に流行を取り入れて変化し続けてきた街。昭和初期のピーク時には大須の中に23もの映画館があった。映画が斜陽になると衣料、パソコン、サブカルとどんどん変わっていった。住民がいろいろなアイデアを出して次々とイベントを仕掛け続けるのも、この街の特徴。カバの嫁入り行列など驚くような記事が満載。大須にしかない『ごった煮』感を、てんこ盛りにした本」。

 編集を担当した樹林舎の野村明紘さんは愛知県出身で、大須はよく買い物に行く身近な街。それでも記事に書かれた大須の活気のある姿に驚いたという。「編集が済み、まとめ終わっての感想は『カオス』。今も元気だが、昔からずっと何でもありの街だったことがよく分かった。資料を探すために名古屋タイムズの記事を読んでいると、次々に別な記事を読みふけってしまう。街も新聞記事もエネルギーのある時代だったと感じた」。さらに、「昔から大須を見てきた人はもちろん、レトロに興味がある今の若者にも楽しめる本になった」と内容に自信を見せる。

 長坂さんは「1952(昭和27)年に名古屋タイムズが作成した大須の商店街マップも、屋号一軒一軒を手描きで描いた当時のままの形で掲載している。本を手に、古地図を見て歩くように大須を楽しんでもらうのも面白いのでは」と同書の魅力をアピールする。

 仕様はB5判、182ページ。価格は1,680円。