国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画発表会が3月27日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)小ホールで行われ、参加アーティストが追加発表された。
参加アーティスト第2弾発表。写真はアートユニット「エキソニモ」の作品
同芸術祭は「情の時代 Taming Y/Our Passion」をテーマに、国内外から80組以上のアーティストが集結し、8月1日から10月14日の75日間にわたり開催される。
会場は愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺地区などの名古屋市内と豊田市美術館、豊田市駅周辺。参加アーティストの作品を巡回展示する「モバイル・トリエンナーレ」は、設楽町田口特産物振興センター、津島市文化会館、小牧市市民会館・公民館、東海市芸術劇場の4カ所で行われる。新たな試みとして「芸術祭等連携事業」を行うことも発表した。「瀬戸内国際芸術祭2019」「Reborn-Art Festival 2019」など同時期に開催される他の芸術祭・企画と連携してイベント協力、相互の広報展開を図る。
津田大介芸術監督は「情、パッションという言葉が持っている多義性に注目して決めたテーマで、世の中が昔と比べて感情的になりすぎていないか、理屈みたいなものがどんどん消えていないか、という疑問から始まっている。私たちは情報を見て感情が刺激されている。情という漢字を調べると、感覚によって起こる心の動き(感情、情動)、本当の姿(実情、情報)、人情・思いやり(なさけ)と、主に3つの意味がある。情報にあおられた、感情に翻弄(ほんろう)された人々が世界中で起こしている分断を、アートの持つ力で解決していきたい」とあらためてテーマを解説。参加アーティストから集まった情報をタグクラウドで提示し、「揺れ動く人間の感情を表現するアート、情報やテクノロジーを使ったアート、人間の持つ根源的な情けを喚起するようなアートなど、広いテーマにしたことでいろいろな作品が作られるはず」と芸術祭のイメージを表現した。
国際現代美術展は、ニューヨークを拠点に活動するアートユニット「エキソニモ」など新たに39組のアーティストを発表。計66組となり、顔ぶれがほぼ出そろった。映像プログラムでは2組のアーティストが発表された。
パフォーミングアーツは3組を追加発表。会期中、複数演目を集中的に上演する「パフォーミングアーツ・フォーカス期間」(8月1日~4日、9月6日~8日、10月11日~14日)を設定し、演者と観客、美術と演劇、劇場と都市空間を横断するプログラムを複合的に展開する。
音楽プログラムはサカナクション、純烈の参加が発表された。愛知芸術文化センターを会場にした「あいちトリエンナーレ2019 MUSIC & ARTS FESTIVAL」や、四間道・円頓寺地区での音楽プログラムなども開催する。
来場者の誰もが主体的に学びあう取り組み「ラーニング」には、「遠藤幹子&日比野克彦」の参加を発表。来場者の鑑賞体験をより豊かにできるような環境づくり「アート・プレイグラウンド」の展開や、県内の学校へのアーティスト派遣事業などを行う。
この日、47組が追加発表され、27の国と地域から計79組のアーティストの参加が決定。映像プログラム、音楽プログラムなどで今後も追加が予定されている。
参加アーティストの男女比率をほぼ均等にしたことも今回の大きな注目点。津田監督は「日本はジェンダーギャップ指数が低く、美術業界でも同様。この状況を変えていくために、参加作家数の男女平等を実現した。世界最古・最大の芸術祭ベネチアビエンナーレも企画展示部門で参加アーティストの半分が女性であることが分かったが、今後の美術業界の国際潮流になるはず。あいちトリエンナーレはまったく独自にこの決定にたどり着いたが、結果的に最先端に追い付いている。誤解してほしくないのは、作家選びはあくまでテーマありきだということ。1年以上かけてテーマに合う作家を選ぶことを大前提にして進めながら、作家に参加機会を与える上でジェンダーの平等を達成した」と話す。
津田監督は若手、地元のアーティストについても言及。「芸術祭の成功は、多くの若い才能が世界に羽ばたく場となることだと考えているので、若手作家は意識的に増やしている。税金を使った公共の地域振興プロジェクトでもあるので、愛知ゆかりの作家も一定数選んでいる。若手や愛知の作家がブレークする切掛けになれば、成果につながる」と意気込んだ。
4月1日~30日には、会期中販売券に比べて低価格で鑑賞できる国際現代美術展の「特別先行前売券」を発売。舞台芸術(パフォーミングアーツ、音楽プログラム)の鑑賞には別途チケットが必要。