昨年1月から休業し全体改修工事を進めてきた名古屋テレビ塔(名古屋市中区錦3)のグランドオープン予定日が9月18日に決まった。
全面フルカラー表現できるLED照明に変更しレインボーに照らした名古屋テレビ塔
7月のリニューアルオープンを予定していたが新型コロナウイルスの影響で2カ月以上遅らせることになった。6月30日、同社が記者会見を行い、大澤和宏社長と同塔総合プロデューサーの中田朝之さんが登壇。大澤社長は「やっとここまで来たと実感しうれしい。市民の皆さんからもオープン日の問い合わせを多くいただいている状況」と笑顔を見せる。
1954(昭和29)年6月20日に開業。戦後の復興のモニュメントとして作られた。高さ180メートルで重さは4000トン。
リニューアルコンセプトに「未来タワー」を据え、プロポーションはできるだけそのままにし、ホテルなど新しいコンテンツで構成するという。「コンクリートの塊やドア、サインなど竣工当時の部材が出てきた。名古屋テレビ塔が登録文化財としての価値を高めるためにも、これらを展示するミュージアムシーンを用意したい」(中田さん)。
同塔を照らす照明を全面フルカラー表現できるLED照明に変更。塔体のエレベーターシャフトに映し出される映像が従来の約3倍の解像度になり、より鮮明な表現ができるという。ライトアップと映像を使い、季節に合わせたオリジナル演出を、一年を通じて10シーン展開する予定。「9月のグランドオープン時には秋の始まりなので、モチーフは紅葉などが考えられる」(中田さん)。9月16日には点灯式が行われる予定。
これまでの階段は屋内1階から始まっていたが、開業以来初となる地上から展望台まで一本でつながる階段を塔体西側に設置。全410段。地上約90メートルの高さの「スカイデッキ」には360度・全方位に映し出せる映像装置を設置するほか、天井と腰壁にミラーを設置し、同塔の足元に広がる公園のある景色が天井ミラーに映し出される空間になる。地上約100メートルの屋外展望台「スカイバルコニー」ではグランピングやアーバンアウトドアなどを体感できる企画も。
テナントは9店が出店。1階=英国風パブ「ハブ」、ナチュラルテイストのカフェ「ファームアンド」、2階=レストラン・バンケット「リリィ」、3階=ジャパニーズカフェ「ベース ラボ」、仕事や趣味、イベントに使えるシェア空間「タワーラウンジ カシメ」、同塔の設計者・内藤多仲さんから名前をとったオリジナル土産ショップ「タチュウ」、VRやARを楽しめる体験型施設「スピードXR(仮称)」、4階=東海三県の食材を使うレストラン「グリシーヌ」、4・5階=5階の南北にデッキテラス付きスイートルーム2部屋を設ける「ザ タワーホテル ナゴヤ」。
グランドオープンまで2カ月半余り。この間にソフト面、イベントのほか、コロナ対策といった安全を保てるシステムなどを見極めて検討していくという。「グランドオープンの9月18日が明るい社会への出発点となり、開発が始まる栄エリアの先駆者になれれば」(大澤社長)。
ロゴマークもリニューアルし、キャラクター「ウエミーヤ」も開発した。「ウエミーヤ」の性格は常に上向き志向で、特徴はテレビ塔を眺めすぎて上しか見られない。口癖は「上見やあ」。
グランドオープン後の営業時間は10時~21時(土曜・休日前、夏休み期間は21時40分まで)。展望料金は、大人(高校生以上)=900円、子ども(小・中学生)=400円、未就学児無料。