「第73回西川流名古屋をどり」が10月29日~31日、御園座(名古屋市中区栄1)で開催される。
第72回名古屋をどりで踊る三世家元・西川右近さんと四世家元・西川千雅さん
名古屋をどりは、日本舞踊「西川流」が1945(昭和20)年の終戦直後から、名古屋宝塚劇場、旧御園座、中日劇場、新生した御園座と、名古屋の中心地で会場を移しながら公演を続けている舞台。昨年は9月に予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大や外出自粛の状況を踏まえ、公演を中止した。
例年は昼夜あるいは3部制の上演だったが、今回は夜1公演を3日間で開催する。昨年12月に急逝した先代家元・西川右近をしのぶ追善公演となる。昼間は3日間とも、門弟による「西川右近追善舞踊会」を舞踊会形式で開催する。四世家元・西川千雅さんほか西川流の舞踊家約40人が出演する。
上演する演目は4つ。「芸妓(げいぎ)の賑(にぎ)わい」は、右近総師が長年指導した名古屋、東京、金沢の芸妓連が特別参加し、各団体にゆかりのある作品を踊る。初日は名古屋、2日目が東京・赤坂、3日目が金沢の芸妓たちが参加する。
長唄「五人連獅子」は、西川千雅さん、カークさん、長秀さん、京志郎さん、章之人さんら西川流の中核をなす男性舞踊家らが踊る。千雅さんの振り付けで父が厳しく子を育てる獅子の親子の姿を描き、これからの西川流を背負っていく気概を披露するという。
清元「六玉川」は、西川まさ子さん、陽子さん、真乃女さんら女性8人で披露。1846年に富本節として作曲された清元を踊り、絶え間なく続く西川流の流れを表現する。
生涯で3000曲以上を振り付けした三世右近家元の特徴は、演劇と舞踊を合体させた数多くの「舞踊劇」の表現にさまざまな形で現れている。今回の舞台では、映像と実演で右近の足跡をたどる新作舞踊集「西川右近の一生」を上演。四世千雅家元が構成し、右近・千雅の作舞した踊りを、西川流の出演者全員で踊る。
千雅さんは「2年ぶりに公演を開催できることに、感謝と期待と不安で胸がいっぱい。今回の追善で、今までの名古屋をどりのスタイルにはピリオドを打ち、来年からは新たな出発を計画している」と意気込みを語った。
名古屋をどりは18時開演。入場料はSS席=1万450円、S席=8,800円、A席=5,500円。追善舞踊会は29日が12時、30日・31日が11時開演。入場料は8,800円。前売り券の販売は9月1日から。