三越のシンボル「ライオン像」が9月27日、名古屋栄三越(名古屋市中区栄3)3階フロアに「もう一頭」登場した。
8月に迎えた「三越」の創業350周年を記念した大創業祭の一環で、同企画は名古屋栄三越のみで実施。メイン玄関前に設置してあるライオン像はそのままに、三越伊勢丹グループが保管し「眠っていた」ライオン像を使い、期間限定で設置する。同店広報担当者によると、像の大きさは同じで全長200センチ、横幅80センチ。顔つきは若干異なるという。
三越のライオン像は、1914(大正3)年に日本橋三越本館完成に合わせて、当時、経営トップだったライオン好きの日比翁助さんが「勇気と気品、度量の象徴」として設置。ロンドン・トラファルガー広場にあるネルソン記念塔下のライオン像を模して作られた物で、三越のシンボル的存在になった。
設置作業は前日の26日夜に行われ、運び込まれたライオン像を同社社員が水拭きした。自らを「ずっと三越人」という同企画担当者で同社営業本部の鈴木順一郎さんは、「ライオン像には思い入れがある。久しぶりに外に出たこのライオン像を感謝の気持ちを込めて拭き上げ、息を吹き込んだ」と話す。
3階に設置したライオン像は、触れたり、またがったりして、写真撮影を楽しめる。日本橋三越のライオン像は関東大震災で建物は全焼したが像は奇跡的にほぼ無傷。第2次世界大戦中の金属類回収令では供出したが溶解されず、戦後になって渋谷区の神社で偶然、三越の社員が発見した。2度の危機を乗り越えたことから、鈴木さんは「ライオン像は縁起もよい。背にまたがると願いをかなえてくれると言い伝えられている。またがる機会もなかなかないと思うので記念撮影しSNSなどに投稿してほしい」と話す。
ARで「翼を生やしたライオン像」を見ることができる企画も用意。館内に設置するPOPのQRコードをスマホなどで読み取ると像が現れ、大きさや向きなどを変えることができる。「ショップスタッフとお客さまとの会話のきっかけにもなれば」と鈴木さん。大創業祭では、ライオン像をデザインしたパッケージの菓子や紅茶などの商品、同店限定のパンなど、約350種類の記念商品や企画などを展開する。
ハロウィーンやクリスマスなど季節に合わせたライオン像の装飾も検討中という。3階へのライオン像の設置は12月31日までの予定。
※上記企画のライオン像は、現在、メンテナンスで一時撤去中。11月15日に7階イベントスペース(アートサロン前)に設置予定。12月25日まで。(11月6日発表)