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老舗コーヒー卸売会社が「喫茶室」 人と人、文化が交流する起点に

「イトウコーヒー本店」店長で「イトウ珈琲喫茶室」の運営にも携わる奥田直也さん

「イトウコーヒー本店」店長で「イトウ珈琲喫茶室」の運営にも携わる奥田直也さん

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 業務用コーヒーの卸売り・豆の焙煎(ばいせん)などを手がける「イトウ珈琲(コーヒー)商会」(名古屋市東区泉1)が12月8日、焙煎所跡地に「イトウ珈琲喫茶室」をオープンした。

ショップ「イトウコーヒー本店」(左)と「イトウ珈琲喫茶室」(右)の外観

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 同社は1951(昭和26)年創業。名古屋を中心に500以上の卸先に業務用コーヒーを販売。一般客向けにコーヒー豆やコーヒーのテイクアウト販売を行うショップ「イトウコーヒー本店」店長の奥田直也さんによると、「喫茶店と間違えて来店するお客さまも少なくなかった」という。「お客さまの『ここで飲めたらいいのに』との声に応えるとともに、名古屋の喫茶文化を継承していきたいと考え、喫茶室を立ち上げることを決めた」と話す。

 同店は「イトウコーヒー本店」横に位置し、店舗面積は約12.4坪。「焙煎所の雰囲気を生かしたい」(奥田さん)と、打ちっ放しのコンクリート部分をアクセントに残しながら壁の塗り替えなどを行ったという。席数はカウンター=4席、テーブル=4卓10席。カウンターチェアやソファ、テーブルは閉業した取引先から譲り受けたものを使用している。奥田さんは「かつて活躍していた焙煎機や棚、グッズなどを展示している。この場所に残る歴史の痕跡も併せて味わってもらえたら」と笑顔を見せる。

 ロゴマークなどのデザインは「ピースグラフィックス」(中区富士見町)が担当。メニューやマグカップなどのグッズ開発、店舗の改装計画などには、飲食店経営の経験があり新規開業支援なども手がける阿部充朗さんが協力した。「コーヒーのつづりの中には『OFF』が含まれている。ほっと落ち着ける、心のスイッチをオフにできるような時間を提供したいと考えた」と奥田さん。深いこくと甘みが特徴のブレンドコーヒー「OFFの珈琲」(ホットのみ、Sサイズ=400円、Mサイズ=450円)は、「昔ながらの純喫茶のコーヒー」をテーマに開発した。店頭では1枚につき400円分のドリンクメニューを購入できる「珈琲チケット」(11枚つづり4,000円)を販売。ドリンクはテイクアウトでも販売する。

 店内ではトーストやデザートメニューも提供する。「プチやま 小倉バター」(2個380円)は、名古屋の製パン会社「本間製パン」の食パンにバターを塗ってトースターで温めてから小倉あんと薄切りのバターをのせてさらに温めた上で提供する。奥田さん「小倉トーストは名古屋の喫茶文化を代表するフードで特に思い入れがある」と話す。

 「イトウコーヒー本店」では、「喫茶室マグ」(Sサイズ=1,800円、Mサイズ=2,000円)や「喫茶室缶バッジ」(小=250円、大=300円)などのオリジナル商品を販売する。ほかにも、「OFFの珈琲」の豆に加え、現在同店での提供準備を進めるブレンドコーヒー「ONの珈琲」の豆(以上、100グラム500円)を販売する。

 オープンから1週間、「待ちに待っていたと足を運んでくださるお客さまも多くうれしい限り」と奥田さんは笑みを浮かべる。「名古屋の喫茶文化を継承することを目標に掲げた際、これから喫茶店を開きたいと考えている人の開業支援なども行える場にしたいと考えた。かつて喫茶店を営みながらも事情により閉業された方と新規開業を希望する人とをつなげるような起点にもなれば」とも。「今後は2階スペースにも手を入れ、イベントやワークショップ、コーヒーセミナーなども開いていきたい」と意気込む。

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