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伏見ミリオン座で映画「夢売るふたり」公開へ-西川美和監督が来名

来名した西川美和監督

来名した西川美和監督

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 伏見の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1、TEL 052-212-2437)ほかで9月8日から、映画「夢売るふたり」が全国公開される。公開に先立ち、西川美和監督が来名し、会見を開いた。

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 「ゆれる」「ディア・ドクター」などで国内外の数々の映画賞に輝いた西川監督の最新作は、松たか子さんと阿部サダヲさんが結婚詐欺を行う夫婦を演じる衝撃のラブストーリー。結婚詐欺に巻き込まれていく女性たちを演じる田中麗奈さん、鈴木砂羽さん、木村多江さんら個性派ぞろいのキャストの競演も注目だ。

 小料理屋を営んでいた夫婦、貫也(阿部)と里子(松)は、火事で全てを失ってしまう。自分たちの店を持つ夢を諦めきれない二人は、結婚詐欺で次々に女性たちをだましていく。しかしうその繰り返しは、だました女性たち、そして夫婦の間の歯車を徐々に狂わせていく。

 「ディア・ドクター」を撮り終えた後、女性を軸にした映画を作りたくなったという西川監督。「夫婦の物語と、女性の生きざまのようなものを描きたいと考えた。自分自身も周囲の女性たちも三十代になり、結婚や女性としての生き方をどうするのか、同じような悩みを持つようになった。結婚詐欺を働く夫婦の話なら、妻と夫の話も、だまされる女性たちのさまざまな人生も一網打尽に描けると思い、この設定を選んだ」と物語の生まれた経緯を語る。

 夫婦を演じたのは、松さん、阿部さんという演技派の二人。「大悪人の話ではなく、普通に生活していた善良な市民が何か一つボタンを掛け違えたことで、道を踏み外していく様を撮りたかった。女性たちをだまし、生々しいグロテスクな描写もあるこの物語を支えるには、松さんの品が必要だった。夫役は女性たちを手玉にとるというより、彼女たちの心の中に開いた穴のようなものを、こまめに埋めていくようなキャラクター。格好よさよりかわいげが大切だったので、阿部さんになった」とキャスティングの理由を明かす。

 撮影現場では演出らしい演出をしなかったという。「松さんは現場でほとんど質問をしない。最初のリハーサルから、もう感情が出来上がっていた。阿部さんも俳優としての身体能力が高く、一回言ったことは二度と外さない。二人は俳優としての在り方が似ているので、バランスが非常に良かった。十年くらい一緒にお芝居をやっていたのではと思うくらい、波長が合っていた」と絶賛する。

 だまされる女性たちは、OLからスポーツ選手、風俗店で働く女性までさまざま。「何を考え、何を感じて生きているのか知りたいと思い、ウエートリフティングの選手やソープランドで働いている女性を取材した。それぞれに魅力的で、生き方を紹介したくなった。一般的な女性たちと距離があると思うかもしれないが、取材してみると同じような悩みを持っている」と話す。

 最後に監督は「前作は読後感がいい、多くの方に見てもらえる作品だった。今回は本来の自分の姿に戻り、もう一回人間の持っているダークサイドに切り込んだ作品。映像も音もこだわって作った映画なので、ぜひ劇場で見てほしい」と名古屋の映画ファンに呼び掛けた。

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