空間と家具のデザイナー・日比野義之さん、鶴舞のカフェでエキシビション

複雑なラインが印象的な脚のテーブルと、木材が絡み合って浮いたように見える照明。

複雑なラインが印象的な脚のテーブルと、木材が絡み合って浮いたように見える照明。

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 鶴舞のカフェ「nunc nusq(ヌンクヌスク)」(名古屋市中区千代田4、TEL 052-332-0002)で現在、名古屋を中心に活躍する空間と家具のデザイナー・日比野義之さんが、エキシビション「TRUE COLORS」を行なっている。同展は現在開催している「NAGOYA DESIGN WEEK 2009」の一環。

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 会場となっている「ヌンクヌスク」の店舗設計を日々野さんが手がけていることから、今回の展示が実現。会場には日比野さんが作成したテーブルと照明を展示している。これらの作品は、日常の中の風景から抽出した「線」に、プロダクトとしての「機能」を組み合わせることで、そのもののもつ資質や雰囲気をプロダクトに込めて表現することができるのではないかと試みたもの。

 独立して仕事を始める前は、個人的な作品をよく作って発表していたという日比野さん。「最近ではそうした個人的な作品の発表は行っていなかったが、デザインウィークのスタッフに知り合いが多く、彼らの熱意に押され出展することに決めた」と振り返る。「ただ、通常の業務を滞らせてまで作品を制作するということに、何か意味をなさなければ。ただキレイなものを作るだけでは意味がない」と悩んだという。

 そうした中で偶然目にした、シカの親子が寄り添う自然の風景の写真。「写真からあふれ出る彼らの温かさを感じた」と日比野さん。「彼らから抽出したラインは、その風景がなくなっても、彼らの資質や自然の温かみを表現するのには充分なのではないかと考えた」と話す。

 そこからいろいろな写真を撮りためた日比野さん。しかし「ファインダーを覗いて写真を撮ると、自分が写真自体をディレクションし始めてしまい、ものの本質を捉えることができていないのでは」と気づいたという。最終的にはファインダーを覗かずに、ゲリラ的に写真を撮った。作品の元となったコスモスの写真は、そうして撮られたものだという。「この(花の)写真からは、植物の強烈なまでの生命力を感じた」(同)とし、そこから作品の元となるラインを抽出していった。

 「自分はアーティストではないので、作るプロダクトには個人的な思想は入れたくないと思っていた」と話す日々野さん。しかし今回に限っては自分を見つめ直すことも含め、プロダクトに「思い」を込めた。「クライアントありきの、システム化されたデザインや仕事ではなく、自分の感覚にとても近いところで制作できたことは、今までの自分をリセットするとてもいいきっかけになり、気分的にとてもスッキリした」と満足な表情を見せる。

 営業時間は11時30分~翌1時。展示は今月18日まで。

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