展覧会「歌川国芳展―奇才絵師の魔力」が4月24日、愛知県美術館(名古屋市東区東桜1)で始まった。
ダイナミックな構成が特徴の「相馬の古内裏」(1845~46(弘化2~3)年頃制作)
大阪、山口を巡回し、愛知は3会場目。江戸時代後期に活躍し、武者絵、役者絵、美人画など多種多様な作品を手がけた浮世絵師・歌川国芳の作品を、8章構成で紹介する。展示数は前後期合わせて約400点で、肉筆画は過去最多。同美術館の平瀬礼太館長は「前期と後期でほぼ全ての作品を入れ替え、2度楽しめる」と話す。
国芳は複数の版画を並べる「続絵(つづきえ)」を数多く手がけた。第1章「役者絵-名優奇優を描く」では、「東海道四谷怪談」や「尾上梅寿一代噺(ばなし)」、第2章「武者絵・説話-躍動する奇傑(きけつ)」では、「宮本武蔵の鯨退治」や「相馬の古内裏」といった、迫力ある大胆な構図の作品が並ぶ。
第3章「風景-新奇の構図」では、国芳が意欲的に手がけた風景画を展示。同美術館学芸員の井上ひかるさんは「景観と同じ高さから、同じ場所にいるかのような距離感で人物を描く、ある瞬間を捉えたスナップ写真のような構図が国芳の風景画の魅力」と話す。西洋画法を取り入れた表現も特徴で、名所や忠臣蔵の討ち入りの場面を描いた「忠臣蔵十一段目夜討之図」と併せて、描写の基となったニューホフ著「東西海陸紀行」の銅版画挿絵を展示する。
第8章「戯画-奇想天外なユーモア」では、動物を擬人化した作品をはじめ、影絵や実在する歌舞伎役者をモチーフとした作品を展示する。井上さんは「戯画は武者絵に並ぶ国芳の代名詞。ユーモラスな表現は、天保の改革によって閉塞(へいそく)的だった世の中において多くの人に笑いをもたらすものだった」と話す。
音声ガイド(650円)のナレーションは、声優の花江夏樹さんと釘宮理恵さんが担当。国芳にまつわるエピソードを織り交ぜ、作品の見どころを紹介する。
5月2日には、あべのハルカス美術館館長の浅野秀剛さんと徳川美術館副館長兼学芸部長の神谷浩さんによる記念講演会、5月16日、30日、6月5日、13日には、愛知芸術文化センター12階アートスペースAで、井上さんが展示を説明する「スライドトーク」を開催する。いずれも定員は先着180人。参加無料。申し込み不要、チケット要提示。
同時開催の「木村定三コレクション 競演!江戸時代絵画」では、名古屋市出身の実業家・美術品収集家の木村定三が収集した国芳作品を初公開する。
開館時間は10時~17時(金曜は20時まで)。月曜休館(5月4日は開館し、5月7日休館)。観覧料は、一般=1,800円、大学生=1,000円、高校生=800円、中学生以下無料。6月21日まで。