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栄で映画「だれかの木琴」舞台あいさつ 東陽一監督、池松壮亮さん来名

来名した東陽一監督(右)と池松壮亮さん(中央)

来名した東陽一監督(右)と池松壮亮さん(中央)

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 栄の映画館「センチュリーシネマ」(名古屋市中区栄3)で9月3日、映画「だれかの木琴」の先行上映会が行われ、東陽一監督と出演の池松壮亮さんが舞台あいさつで登壇した。

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 同映画は直木賞作家・井上荒野さんの同名小説が原作。夫、娘との幸せな家庭を持ちながら、年下の美容師にストーカー行為をする女性を描くサスペンス。主人公・小夜子を常盤貴子さん、彼女に付きまとわれる美容師を池松さんが演じ、「わたしのグランパ」「化身」の東監督がメガホンを取った。

 小夜子(常盤さん)は警備機器会社勤務の夫・光太郎(勝村政信さん)、中学生の娘・かんな(木村美言さん)と3人暮らし。念願の一軒家に引っ越した小夜子は近くの美容院を訪れ、若い美容師の海斗(池松さん)に髪を切ってもらう。その日、海斗から届いたお礼の営業メールを見た小夜子の中に不思議なざわめきが生まれる。小夜子は海斗に心をとらわれ、執着し、ストーカー行為を始める。

 東監督と池松さんが登壇すると、会場から大きな拍手が起こった。東監督は「池松さんというすごい才能を持った俳優と常盤さんという素晴らしい女優に協力していただき、自分としてはこれまでの中で一番面白い映画を作ったつもり。2人の俳優の迫力みたいなものを楽しんでいただけたら」と話す。

 大学生の時に「絵の中のぼくの村」を見て以来、東監督のファンだと言う池松さん。「映画に衝撃を受け、すぐに監督のほかの作品を借りに行った。一本一本を大事に撮っていて、自分の色で映画を撮っている人」と絶賛する。監督は「池松さんとは初めての仕事だったが、恐るべき俳優。20代の若い俳優なのに奥が深い。長いこと映画を撮っていた人間から見ても、常盤さんと池松さんはとても面白かった。監督として一番幸せなのは、選んだ俳優が自由に演じてくれて、何も言わなくてもいい場合。今回、僕は2人を見ていただけだった」と笑顔を見せる。

 監督は脚本も自ら担当。「最初にシナリオを考えた時、海斗は当世の若者風にしたくなかった。そういう若い人たちとは違う、賢い若者の一人として海斗を設定した。池松さんでなければこの役はやりきれないと思い、出演をお願いした」と話す。池松さんは「先に原作を読んで、すごく現代的で面白い企画になると感じていた。監督の脚本を読むと、人間存在というレベルのところまで物語がいっていた。すごくドキドキしたし、ぜひやりたいと思った」と振り返る。

 最後に2人は「エンドロールの途中で帰る人もいるが、この映画は最後まで見てほしい。2人の芝居を見るだけでも、十分に楽しめる映画になっている」(東監督)、「宣伝しやすいように、ストーカーだ、人間模様だと話してはいるが、それはほんの間口。監督から見た現代の孤独を描いた映画だと思う。ものすごい構造になっている作品なので、楽しんでいただけたら」(池松さん)と呼び掛けた。

 9月10日より全国ロードショー。

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