長者町のコーヒーショップ「ミッツコーヒースタンド」(名古屋市中区錦2)が、入居するビルの取り壊しに伴い3月27日に閉店する。
名古屋市営地下鉄伏見駅から同店までの道のりの風景を収めた写真の数々
2012(平成24)年7月にオープンした同店では、コーヒーや紅茶などのドリンク類をはじめ、サンドイッチやマフィンといった軽食やスイーツ、モーニングやランチセットを提供。近隣で働くビジネスパーソンや周辺地域で暮らす人などが足を運び、「まちの休憩所」として親しまれた。同店を立ち上げた阿部充朗さんは「土地柄、オフィス移転や転勤によって足が遠のく人も少なくなかった。一方で出張などのついでに数年ぶりにふらりと立ち寄ってくださる人も。当店を通じてできたご縁が続いていると感じられ率直にうれしかった」と話す。
3代目の店長を務める野村優貴さんは「オーナーから取り壊しについて知らされた当初は頭が真っ白になったが、今までご愛顧いただいた方々のためにも残された日々を走り切らなければと気を引き締め直した」と振り返る。取り壊しのスケジュールなどを鑑み閉店時期を決定。2021年7月、SNSを介して同店のオープン9周年を迎えたことと併せて、閉店について発信した。利用客からは、閉店を惜しむ声が多く寄せられたという。
同店では、店内の壁面を利用した展示も行ってきた。閉店に際して、写真展を企画した。「先代店長の発案で『みんなのミッツコーヒースタンドの風景』をテーマに、お客さまから写真を募った」と野村さん。写真はカウンター席の壁面に、周年ポスターと共に展示した。入り口付近には、名古屋市営地下鉄伏見駅から同店までの道のりの風景写真を飾る。
阿部さんは「どんな物事にも終わりはやってくるもの。閉店の知らせを聞いて寂しさも感じたが、それ以上に感謝の思いで胸がいっぱいになった。思い出されるのは、このまちで出会った人たちの姿。このまちで暮らしたり、働いたりする多くの人たちに支えられてきた日々はかけがえのないものであり、支えがあってこれまで歩んでこられた。最後の日まで当店らしくあり続けたい」と笑顔を見せた。
最終日前日の26日夕方ごろからクロージングイベントの開催を予定している。