「ジブリパーク」(愛知県長久手市)の開園記念展覧会「ジブリパークとジブリ展」開会式が10月28日、愛知県美術館(名古屋市東区東桜1)で行われた。
10月29日から始まる同展覧会。愛知は長野会場に続いて2会場目。この日は「ジブリパーク」制作の指揮を執った宮崎吾朗監督がインタビュートークに登壇し、愛知との縁の始まりと言える2005(平成17)年開催の「愛・地球博」に際して制作した「サツキとメイの家」にまつわるエピソードや、建築からアニメーションの世界に進んだ足跡、ジブリパーク制作に関するこぼれ話などを話した。
宮崎監督は「屋内プールを改装して作った『ジブリの大倉庫』は、特に手間がかかっている。壊して新しいものを作るほうが簡単だが、それはしたくなかった。元あったものを生かすため、職人さんらと意見を交わし一つ一つ課題をクリアしていった」と話す。造形に対するこだわりの背景には、「アニメーション制作に影響された面もある」とも。「2作目の『コクリコ坂から』では、制作を通して私自身が『古いものを守る、残していく』とはどういうことかを深く考えていたように思う。これが、ジブリパーク制作の出発点になったのでは」と振り返る。
開会式には大村秀章愛知県知事、大島宇一郎中日新聞社社長、星野康二スタジオジブリ会長兼社長、宮崎吾朗監督らが出席。大村知事は「ジブリパークの予習、復習の機会として本展覧会を楽しんでもらえたら」、大島社長は「長野会場も盛況に終わったと聞いている。ジブリパークのある愛知でも、多くの人に世界観を味わってほしい」と呼びかける。
星野会長兼社長は「コロナ禍で開園を迎えられることにたいへんな感謝と大きな喜びを感じる。本展をこのタイミングで行えることも、苦境に向き合ってきた証し。ジブリパークを体感するのと同じくらい感じること、学ぶことがあるのでは。約2カ月間、多くの地元の人に楽しんでもらえたら」と笑顔を見せる。
同展覧会の会場前半部分では、宮崎吾朗監督が手がけた建築物のスケッチや模型、ジブリパーク建設と並行して制作した「アーヤと魔女」や、デビュー作「ゲド戦記」などアニメーション作品の制作に関する資料などを展示。後半部分ではジブリパークの建築物や展示品の制作過程を、模型などを交えて紹介する。
展示品のうち、「となりのトトロ」に登場する「ネコバス」、「サツキとメイの家」の5分の1スケール模型、「愛・地球博」会場で展示されていた「サツキとメイの家」のパーゴラ部分の再現展示、「千と千尋の神隠し」に登場する「湯婆婆(ゆばーば)」や「頭(かしら)」の立体展示の写真撮影が可能。「カオナシ」の登場シーンを再現した「ジブリのなりきり名場面展」では、主人公「千尋」になりきって写真を撮ることができる。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで、入場は閉館1時間前まで)。チケットは、一般=1,700円、高校・大学生=1,100円、小・中学生=600円(土曜・日曜・祝日はそれぞれ200円増し)。日時指定制で、各時間枠のチケット販売枚数に残部がある場合のみ愛知県美術館チケット売り場で指定時間枠の当日券を販売する。当日券は曜日に関わらず土曜・日曜・祝日と同一料金となる。月曜休館(10月31日は開館)。12月25日まで。熊本、兵庫、山口を巡回予定。