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伏見ミリオン座で映画「恋人たち」 橋口亮輔監督が来名

来名した橋口亮輔監督

来名した橋口亮輔監督

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 栄の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1)で11月14日、映画「恋人たち」が公開される。公開に先立ち、橋口亮輔監督が来名して会見を開いた。

 橋口監督は1992年に「二十歳の微熱」で劇場公開映画を初監督。以後、「渚のシンドバッド」「ハッシュ」などを発表し、国内外から高い注目を浴びる。監督第4作「ぐるりのこと。」は報知映画賞最優秀監督賞を受賞。同映画に主演した木村多江さんは日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得した。

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 7年ぶりとなる新作長編は3つの物語が織り成す絶望と再生の人間ドラマ。主人公の3人は、通り魔殺人によって妻を失った男(篠原篤さん)、退屈な日常に現れた男に心が揺れ動く主婦(成嶋瞳子さん)、同性愛者で完璧主義者のエリート弁護士(池田良さん)。不器用だがひたむきに日々を生きる人間たちが、もがき苦しみながらも人と人とのつながりを通して、ありふれた日常のかけがえのなさに気付いていく姿を描く。

 「主演の3人は映画のワークショップに参加したメンバーからオーディションで選んだ」と話す橋口監督。「ワークショップは初めての経験だったが、とても面白く取り組むことができた。オーディションに来た200人にはダイヤの原石はいなかったが、一人一人に個性があった。篠原さんは不器用だけど、人柄が良くて、見ていたい気にさせる人。成嶋さんは生っぽい人で、抜群の存在感があった。映画の役を演じることで生き直しているようだった。池田さんが演じた役は、僕の嫌いな人物像。難しかったと思うが、見事に演じてくれた」と話す。

 タイトルは最初に決めていたと橋口監督。「人間は好きな人に向き合うとジタバタするし、丸裸になる気がするので、ワークショップの時に恋愛劇を選んだ。最初は本人たちから出てきたものに肉付けしようと思っていたが、なかなか難しかったので、オリジナル脚本になった。僕自身が体験したことや、今の日本が抱えている表現しづらい空気を盛り込んで、出演者それぞれの演じる人物を当て書きした。3人の人生を描くだけではなく、その周辺にいろいろな恋人たちの姿を織り込みながら、背景に日本の空気が見えてくればいいと考えた」

 前作からの7年間について「そのころは私生活でもいろいろ苦しいことがあり、映画を作ることがばかばかしい、人にものを伝えることはきりがないと思っていた時期。暗いトンネルの中にいた僕に、プロデューサーの方が映画を作ろうと繰り返し声を掛けてくれた。それが無ければ犯罪者になるか、死んでいたと思う」と明かす。

 最後に監督は「今の日本、僕自身のモチーフ、前作からの7年の思い、3つを走らせながら約8カ月かけて準備して撮影した。美男美女の恋愛映画は僕よりうまく作れる人がいっぱいいる。分かりやすい作品ではないが、この映画で救われたと思う人がいたら、とてもうれしいこと。ぜひ映画館に足を運んでいただけたら」と呼び掛ける。

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