名古屋市立大学名誉教授の哲学者・福吉勝男さんが3月9日、中日ドラゴンズの歴史を語る書籍「中日ドラゴンズを哲学する データを超えた野球の“楽しさ”」を出版した。
福吉さんは京都府出身。名古屋大学大学院文学研究科博士課程を修了。76歳の現在も哲学・倫理学を専門に研究しながら、大学・専門学校などで講義を行うなど精力的に活動している。主な著書は「大学の危機と学問の自由」(共著、法律文化社)、「福沢諭吉と多元的『市民社会』論」(世界思想社)ほか。
同書は、小学校時代から野球少年で、約70年にわたってプロ野球、ドラゴンズを愛してきた福吉さんが、筋金入りのファン目線で書き下ろした「ドラゴンズ論」。1954(昭和29)年の天知俊一監督での初優勝・日本一から、与那嶺要、近藤貞雄、星野仙一、そして落合博満監督までの全ての優勝シーズンの名選手、名場面を、戦後復興期、高度成長期、昭和から平成など、時代や社会の変化、世相と共に回顧。強かった中日を分析・考察し、復活へのアイデアを提案する。
福吉さんは「70代の後半にさしかかって過去の自分の生き方を振り返ると、研究生活よりもドラゴンズとの付き合いの方が長い。ドラゴンズ史を語ること抜きに自分史は無いと思った」と執筆の動機を振り返る。
現在も資料収集を続け、今シーズンの開幕を楽しみにしているという福吉さん。「ここ8年間の長い低迷を脱するために、特に本書の『結び 昇竜への「提言」』を読んでいただきたい。選手・首脳陣・球団そしてファンが心をひとつにして、スピード感に溢れ溌剌とした、よく考えた野球を追い求めていきたい」と呼び掛ける。
発行元は桜山社(名古屋市瑞穂区中山町5)。仕様は四六判、162ページ。価格は1,540円。