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伏見ミリオン座で映画「銃2020」舞台あいさつ 愛知出身の武正晴監督が登壇

伏見ミリオン座で行われた映画「銃2020」の舞台あいさつに知多市出身の武正晴監督が登壇

伏見ミリオン座で行われた映画「銃2020」の舞台あいさつに知多市出身の武正晴監督が登壇

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 伏見の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区錦2)で7月11日、映画「銃2020」の舞台あいさつが行われ、武正晴監督が登壇した。

観客は間隔を空けて座り、武監督はマスクをしたままでトーク

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 芥川賞作家・中村文則さんのデビュー小説「銃」を2018年に映画化した奥山和由プロデューサー、武監督が再び集結。奥山さんの着想を受けて、中村さんが新たに映画の原案を練り、武監督と共に脚本を担当した。主演は「銃」で主人公トオルに絡む印象的な女性「トースト女」を演じた日南響子さん。拳銃を拾った女性が、翻弄されていく姿を描く。出演はほかに佐藤浩市さん、加藤雅也さん、友近さん、吹越満さんら。

 伏見ミリオン座は緊急事態宣言の解除を受けて5月22日から営業を再開していたが、舞台あいさつを行うのは今回が再開後初。約3か月ぶりの舞台あいさつは、武監督が知多市、中村さんが東海市、日南さんが稲沢市の出身と、愛知県ゆかりの人が多く参加する作品での開催となった。

 武監督は、新型コロナウイルスの感染防止対策で間隔を空けて着席した61人の観客の前に登壇。「僕が舞台あいさつに出るのは1月以来。今日は映画館まで来てくれて本当にありがとうございます。映画館にこれだけ人がいるのを、久しぶりに見ることができた。こんな暗い映画で申し訳ないので、口直しにミリオン座の楽しい映画も見て帰ってほしい」と笑顔を見せた。

 制作の経緯について武監督は「前作の完成後に奥山さんらと食事にいった際、中村さんが日南さんを印象深かったと話し、あの人が銃を拾ったらどうなるだろうという話で盛り上がった。映画続編あるあるで普通はできずに終わるものだが、その場で中村さんが何か書きましょうかと言った。スケジュールびっしりで忙しい中村さんを、そういう気にさせた女優が日南さん」と制作の経緯を語る。

 エキセントリックな登場人物たちが予測不可能の行動を繰り広げる本作。武監督は「宣伝には『全員クレイジー』と書かれているが、今の日本の現状をそのまま描いたと思っている。中村さんの作品は脚本であっても文学。映画にする作業は今回もとても難しかった。俳優に説明できないから登場人物のバックボーンを数行でいいから書いてほしいとお願いし、そのメモをヒントに作っていった。俳優は説明のつかない役を最近やっていないと思うので、不条理な劇が楽しかったのではないか」と振り返る。

 観客からの質問コーナーで「コロナ禍の中で考えたこと」を聞かれた武監督は「作り手として考えたのは、この状況でどうやって作ろうかということ。日々難しい問題を与えられていて、これからは画面や画角変わっていき、合成も増えていくのかも知れない。マスクを扱ったり検温したりする衛生部という部署もできた。現場が密にならないように、密接に見える場面を撮る。その方法論を考えなければいけない」と話す。

 最後に武監督は「オリンピックも延期になる中、予定通りに映画が公開されたのは奇跡的。宣伝は全くできていなくて、試写もなかった。この状況の中で、これだけ来ていただいたのは本当にうれしい限り。いろいろな所で感想を書いていただけると、こういう映画があるとようやく伝わる」と映画の成功を祈り、「これからも厳しい時期は続くが、映画館はそれほど環境の悪い場所ではない。見たい映画があったら、マスクや手洗いなど注意しながら楽しんでいただきたい」と呼び掛けた。

 伏見ミリオン座ほかで公開中。

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