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伏見ミリオン座で映画「団地」 阪本順治監督が来名

来名した阪本順治監督

来名した阪本順治監督

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 栄の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1)で6月4日、映画「団地 DANCHI」が公開される。公開に先立ち、阪本順治監督が来名して会見を開いた。

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 阪本監督は1989年に「どついたるねん」で監督デビューし、芸術推奨文部大臣新人賞、日本映画監督協会新人賞などを受賞して注目を集めた。藤山直美さんを主演に迎えた「顔」で、日本アカデミー賞最優秀監督賞、毎日映画コンクール日本映画大賞・監督賞などを受賞。藤山さんは同作で毎日映画コンクール女優主演賞、報知映画賞最優秀主演女優賞などを獲得した。

 16年ぶりに阪本監督と藤山さんがタッグを組んだ本作は、妄想としゃべくりのコメディー。さまざまな人生が交差する団地を舞台に、平凡な夫婦の普通ではない日常をユーモアたっぷりに描き出す。

 ヒナ子(藤山さん)と半年前に店を閉めた元漢方薬局店主の夫・清治(岸部一徳さん)は、昭和の面影を残す大阪近郊の古ぼけた団地に引っ越して静かに暮らしていた。腰は低いがどこか世を捨てた雰囲気に、調子のいい自治会長の行徳(石橋蓮司さん)と君子(大楠道代さん)夫婦、クレーマーで次期会長を狙う吉住(宅間孝行さん)、暇を持て余した奥さま連中ら住人たちは興味を隠せない。時折訪れる不思議な立ち居振る舞いの青年・真城(斎藤工さん)だけは、夫婦の抱えた過去を知っていた。

 本作のために完全オリジナルの脚本を書き上げた阪本監督。「藤山さんと再びできると決まって書いた脚本で、藤山さんありきの映画。『顔』はお互いに全てを出し切った感があり、延長線上にはもう何も生まれないと思った。コメディーは藤山さんのホームグラウンドだが、舞台では経験できなかったような表現をしてもらおうと書いたシナリオ。岸部さん、石橋さん、大楠さんもまだ出演が決まっていないうちから当て書きでキャラクターを作った」と振り返る。

 舞台となる大阪の団地や不思議なストーリーは、自身の子ども時代の記憶から着想を得ている。「生まれ育った街の実際の風景や経験したことと、幼少期や思春期に考えた妄想を組み合わせた物語。藤山さんたち2組の夫婦が織りなす大阪の庶民劇でありつつ、少年時代に愛読した星新一さんのような最後の1行で常識や日常がひっくり返るような世界観を実現したかった。荒唐無稽な話で藤山さんたちも最初は驚いたようだが、見事に地に足の着いたドラマに仕立ててくれた」と話す。

 最後に阪本監督は「人が死んだら魂はどうなるのだろうという子ども時代の空想や団地が象徴するような社会の変化など重いテーマでも、喜劇なら軽妙に伝えることができる。しっかりとしたコメディーになっているので、会話劇に笑って、物語に驚いてもらえたら」と呼び掛けた。

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