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「あいちトリエンナーレ2013」全容が明らかに-4月から先行前売券販売開始

ヤノベケンジ 《サン・チャイルド》2011 courtesy of the artist

ヤノベケンジ 《サン・チャイルド》2011 courtesy of the artist

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 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2013」の記者発表が3月22日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区東桜1)で行われ、企画の分野ごとの展開内容、参加アーティストの全容などが発表された。

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 テーマは「揺れる大地-われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」。今年8月10日から10月27日の79日間にわたり行われる。愛知芸術文化センター、名古屋市美術館や長者町、納屋橋などの名古屋市内各地と、岡崎市内(東岡崎駅・康生・松本町の3会場)が会場となる。

 この日の会見では、岡崎市出身で宮城県を拠点に活動する写真家の志賀理江子さんら、新たに約30組の参加アーティストが発表され、現時点で93組のアーティストの参加が決定した。「現代美術」は75組が参加する。また、映像プログラムとして5組の参加アーティストを発表。実験映画、ビデオアートなどの「ジャンル区分を越えた視点」で、同芸術祭のテーマに関連した映像作品を披露する。もう一つの柱「舞台芸術」はプロデュースオペラ「蝶々夫人」に加え、パフォーミングアーツの参加団体13組が決定した。ダンス、演劇、造形美術、建築などの垣根を越える作品を上演する。

 五十嵐太郎芸術監督は「まさに、最先端の現代美術を紹介する日本最大級の芸術祭となる。今回は東日本大震災が起きたという状況を踏まえ、ずっと準備をしてきた。象徴的なテーマ展開としては、ヤノベケンジさん、オノ・ヨーコさんが希望の復活につながる作品、リチャード・ウィルソンさんが場所、記憶、復活を表現した作品を発表する。志賀さんは震災の津波で宮城県の家を失った。愛知県と被災地の両方に関係を持っている彼女が岡崎で行う展示は、今回のトリエンナーレにおいて重要」と話した。

 パフォーミングアーツの統括プロデューサー、小崎哲哉さんは「舞台芸術と視覚造形美術を結ぶ作品を重視するとともに、今回はサミュエル・ベケットの作品や世界観を取り入れる。ベケットは本展のテーマに極めて近しいものがある。われわれが立っている場所を見つめ直すためには、生と死について思いを凝らした彼の作品は有効だ。現在、完全新作が7本、日本初演作品が4本予定されている」と概要を紹介。福島県の姿を世界に発信する「プロジェクトFUKUSHIMA!」の関連企画も上演するという。

 この日は新たに参加が決まった海外アーティスト2組が登壇。ポルトガル領マデイラ島出身で、現在は米サンフランシスコを拠点に活動する「リゴ23」さんは「日本に招待いただき、うれしく思っている。名古屋でポルトガル語の標識などを見つけ、とても驚いた。本展ではビルを使ってパブリックアートの展示をしたい。グローバリゼーションは主にハイテクノロジーを巡って言及されているが、私は歩行者として実践したい。名古屋を歩いて、いろいろな発見をしたい」と話した。また、キューバ出身で、米マイアミで活動するユニット「ゲッラ・デ・ラ・パス」の2人は「美しい街、文化に触れ、おもてなしに感謝している。私たちは古着を使って作品を作っている。それは衣類が人、文化を証明するアイデンティティーと考えているから。日本、愛知の文化を反映した作品を作りたい」」と抱負を語った。

 最後に五十嵐芸術監督は「海外のアーティストには外からの視点で愛知の特性を発見してもらいたい。また、今回は普通の芸術祭に比べ、テーマ性が強いと思っている。きちんとテーマが届く展示にしたい。海外の作家たちは、愛知だけではなく、被災地にも訪れている。彼らが被災地で感じたことを大切にして作品を作ってもらいたい。まだ決まっていない参加アーティストは5月に発表する予定。開幕まで4カ月と少しになった。ぜひ、応援をお願いしたい」と力強く語った。

 「キッズトリエンナーレ」「建築関連プロジェクト」は引き続き、企画を検討、計画中。決定後、あいちトリエンナーレ2013公式ホームページなどで随時、発表する。期間中に参加アーティストの作品を巡回展示する「モバイル・トリエンナーレ」は、豊橋市、知多市、春日井市、東栄町の4カ所での開催が決定。本展とは異なる作品25点程度を、期間限定で展示し、ワークショップなども開催する。

 愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学、名古屋造形大学の3大学が長者町会場「アートラボあいち」で展覧会を開催する「大学連携プロジェクト」や、豊田市美術館、三重県立美術館などと「一体的かつ相互」に広報展開を図ることも発表された。

 4月1日には、当日券に比べて半額程度の価格で鑑賞できる「特別先行前売券」を発売。販売は4月30日まで。

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