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伏見ミリオン座で福島舞台の映画「家路」-久保田直監督が来名

来名した久保田直監督

来名した久保田直監督

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 栄の映画館「伏見ミリオン座」(名古屋市中区栄1)などで3月1日、映画「家路」が公開される。公開に先立ち、久保田直監督が来名して会見を開いた。

 同作品は東日本大震災後の福島を舞台に家族の再生を描く人間ドラマ。過去の深い葛藤と震災による苦境を生きる家族を松山ケンイチさん、内野聖陽さん、田中裕子さんらが演じる。撮影は福島県富岡町をはじめ、震災当時は警戒区域で現在でも居住制限区域となっている場所などで行われた。

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 ある事件により福島を離れて東京で暮らしていた次郎(松山さん)は、震災をきっかけに20年ぶりに故郷に帰る。次郎の母・登美子(田中さん)と義理の兄・総一(内野さん)らは仮設住宅に移り住み、希望を持てない日々を送っていた。ある日、総一は立ち入り禁止区域となったわが家で、次郎が農地を耕していることを知る。

 ギャラクシー賞など数々の受賞歴を持つドキュメンタリー畑の久保田監督。同作品が劇映画デビュー作となる。「福島を何度か訪れた際、いろいろな人と会って話を聞いた。実際に風景を目の当たりにして、これは絶対に風化させてはいけないと思った。それが自分を突き動かすモチベーションになった」と映画製作への思いを語る。

 「30年近くドキュメンタリーなどのテレビ番組を制作してきたが、映画は作ったことがない。自分たちにできるか不安もあったが、昔からの知り合いだった是枝裕和さんや諏訪敦彦さんが力になってくれた。資金集めなど、なかなか前へ進まない時期もあったが、配給会社も決まり何とか世に出すことができた」と振り返る。

 得意とするドキュメンタリーではなく、フィクションという手法を選んだ久保田監督。「取材を頑張れば、家族のドキュメンタリーを完成させることはできる。ただ、僕が見せたいものは、こんなに皆さん大変です、頑張っていますという福島の応援歌ではなかった。人のずるさや弱さもはっきりと見せて、家族の物語を描きたかった。取材で聞いたドロドロとしたことも映画に反映している。今回はフィクションだから撮れるものがあると判断した」

 俳優、スタッフは3週間にわたり福島に滞在し、映画作りに取り組んだ。「松山さんは存在感のある役者で東北出身。こういう映画ができる人は他にいないと思った。内野さんは共通の知り合いから熱い人だと聞いていたから。田中さんは脚本の青木研次さんの作品に出ていたこともあり、その縁でお願いした。被災地の様子はもちろん、農作業なども見ながら役に取り組んでくれた。役者が僕の予想を超える演技をしてくれるので、ドキュメンタリーを撮っている時と似た感覚だった」

 最後に同監督は「この映画は何も答えを出していない。何に共感して、どう考えるか。ぜひ一人でも多くの人に見てもらい、それぞれの思いで語り続けていただけたら」と話し、来場を呼び掛けた。

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