栄のクラシック専門ホール、地域との連携を密に地域活性に貢献

宗次ホールのみなさん。左=田中佐織さん、中央=宗次徳二さん、右=野間晴久さん

宗次ホールのみなさん。左=田中佐織さん、中央=宗次徳二さん、右=野間晴久さん

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 2007年3月に栄にオープンしたクラシック音楽専門のホール「宗次(むねつぐ)ホール」(名古屋市中区栄4、TEL 052-265-1715)が、今年1月から近隣の飲食店やホテルなどとタイアップした「都市観光構想」を打ち出し人気を集めている。

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 同ホールは全国的に展開するカレーチェーン「CoCo壱番屋」を創業した宗次徳二さんが、クラシック音楽の普及のために、会長職を退いた後、私財を投じて建設したもの。作曲家の三枝成彰さんが監修を務めた同ホールは2フロアで構成され、1階席=232席、2階席=78席を設ける。あえて舞台の段差を低くし客席と舞台との距離を近くすることで、演奏者の表情や手元を間近に見ることができるのも特徴。

 「都市観光構想」は、栄エリアに人を呼び込み、エリア内を1日回遊して楽しんでもらおうと、さまざまな店舗とタイアップ展開を図る企画。その一環として展開しているのが、昼間に行うカジュアルな演奏会「ランチタイム名曲コンサート」。チケット料金を1,000円に抑えた手軽さのほか、曲目も、誰もが耳なじみのあるクラシック音楽を中心に演奏する。MCの機会も多くとり、敷居の高いクラシックのイメージを払しょくした構成で展開している。

 併せて、近隣のホテルや飲食店では関連メニューも。ホテルオークラのレストラン「桃花林」のランチコース付き鑑賞チケット(2,900円)、日本料理「志摩」のランチコース付き鑑賞チケット(2,000円)などを用意。ホールに予約を入れるだけでレストランの手配まで完了する手軽さで、中高年の女性を中心に人気を集めているという。

 「もともと音楽を専門とするスタッフがいない、いわば素人集団」と話すのは同ホール営業担当の田中佐織さん。「その分、一般の方に近い感覚でクラシックをより身近に感じてもらうための企画を考案することができる。一番大切なのは思いやりと笑顔。気持ちよくクラシックを楽しんでもらえるための手間は惜しまない」とほほ笑む。

 スタッフらが来場者を思いやる気持ちは、ホールオープン当初から入り口での出迎えを欠かさないという宗次さんの姿勢を反映したもの。開演ぎりぎりまで外で来場者を出迎え、演奏が終わると一番に外に出て観客を見送るという宗次さん。同ホールまで足を運び、チケットを買い、クラシック音楽を聴いてくれる観客に感謝の気持ちを表すことを欠かさないのだという。

 「ホールができる前まで周辺はゴミが多かった」と振り返るのは同ホール総括支配人の野間晴久さん。「せっかくコンサートを聴きに来てくれる人が歩く道だからと、宗次が広小路通の栄~東新町間に花を植えて、毎日手入れをしている。そうした活動が功を奏しゴミが減った」。現在ではマリーゴールドの花が歩行者の目を楽しませている。

 「クラシック音楽を通して地域に根付いた活動を行なうことで、街全体の活性化につながれば」と期待を込める野間さん。「今後は20~30代の若い層にも楽しんでもらえるような企画を考えていきたい」とし、「個人経営のホールで、少人数のスタッフで運営しているためフットワークは軽い。カフェやスイーツ店、生花店、セレクトショップなど、タイアップの門戸は広くし、クラシックファンを増やすためのさまざまな展開を図っていきたい」と意欲をみせる。

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