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iPad専用電子紙芝居で「吉良公」の名君ぶりを紹介-地元デザイナーが制作

吉良上野介義央公の菩提寺「華厳寺」で電子紙芝居「名君!吉良さん」を紹介する筒井潔さん

吉良上野介義央公の菩提寺「華厳寺」で電子紙芝居「名君!吉良さん」を紹介する筒井潔さん

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 大須のデザイン事務所「クーグート」(名古屋市中区大須3)に務めるデザイナーの筒井潔さんが制作した、吉良上野介義央公を主人公にした電子紙芝居「名君!吉良さん」が命日の12月14日、菩提(ぼだい)寺「華厳寺」で営まれる毎歳忌(まいさいき)法要で披露された。

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 西尾市吉良町在住の筒井さんが企画した「名君!吉良さん」は、9月に配信を開始したiPad専用の電子書籍。開発の経緯について筒井さんは「自分が小学校の時には『吉良さんはテレビの忠臣蔵などの物語だと悪者だが、本当はいい殿様なんだよ』と教えられてきた。でも今中学生になる自分の息子は、『吉良の殿様』ということ意外あまり知識がなく寂しく思っていた」と振り返る。

 「『何とか地元に残る民話などを残す方法はないか』と考えていたところ、iPadの普及をきっかけに電子紙芝居を制作することを思いついた」と筒井さん。地域に伝わる昔話や伝説などを電子書籍として残して行く活動「からくりBOOKS」を友人ら5人と社内で立ち上げ、ボランティアで活動を開始した。

 全19ページで構成される「名君!吉良さん」は、冒頭4ページで「忠臣蔵」を全く知らない人にもわかるようにと、一般的な悪役吉良上野介義央公のエピソードを紹介。5ページ目以降からは、実際の吉良上野介義央公がどんな役職で、どんなことをした人物なのかということを、史実を交えながら、口伝のエピソードも加えて紹介。「いかに吉良さんが村人たちに慕われていたか」を語っている。

 吉良上野介義央公の命日法要の日に地元の人々に紹介をした筒井さんは「地元の人が喜んでくれたのを見て『自分のやったことが人のためになったんだな』とあらためて実感できた。特に年配の方がiPadを触って驚きながらも楽しんでくれている姿を見たときはうれしかった」とほほ笑む。

 「もともと自分の子どもに伝えたいと思ったことから始めたこの活動。実は今日、地元の小学校からも電子紙芝居の紹介と体験会を開いてほしいと依頼が来た。小学生などに対しては、郷土愛を育むきっかけに加え、ITに触れる入り口にもなる。今後もそうした活動を続けて行きたい」と意気込む。「ゆくゆくはさまざまな場所で紹介をしていきたい。そのためには今いるメンバーだけでは手一杯なので、賛同して一緒に活動してくれるボランティアスタッフも切望している」とも。

 11月には「からくりBOOKS」から、西尾市一色町に伝わる物語「一色のおおぢょうちん」の配信を開始。今後は、幡豆町の「幡豆の証文岩(仮題)」、西尾市の「天狗の葉うちわ(仮題)」などの配信も予定している。アップル社のApp Storeから無料でダウンロードできる。

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